こんにちは、ナカイです
日本は国土の7割が森林という森林国です。
7割の森林の内人工林が約4割あります。
しかし、近年森林所有者の多くが森林を放置するといった問題があります。
この多面的機能は健康的な森林で強く発揮され私たちの生活を支えてくれています。
平成23年に行われた「森林と生活に関する世論調査」では災害防止や地球温暖化対策などの森林の多面的機能に期待する方が半数程います。
多面的機能とは
森林の多面的機能と言われてすぐに思いつく方はあまり多くはないと思います。
もしかしたら、高校で学んだという方もいるかもしれません。
僕も専門学校に行って初めて知りました。
森林の持つ多面的機能とは水源涵養、土砂災害防止、地球環境保全機能、物質生産、生物多様性保全、文化、快適環境形成、保健・レクリエーションの8つの機能で私たちの生活を安定してくれています。
今回の記事は森林の多面的機能を簡易的にまとめたものなので1つ1つの機能を詳しく知りたいという方は上記のところをクリックしてください。
水源涵養
水源涵養機能には洪水緩和機能、水質浄化機能、水源貯留機能の3種類があります。
洪水緩和機能には降水時に河川の増水緩和と洪水発生を遅らせる機能があります。
雨が森林に降り注ぐと、雨水は土壌に浸透していきます。
水が浸透していく際、地中内の砂や岩、根などの障害物によって地下水面に到達するのに時間がかかり河川に流れ出る水の量を抑えることで洪水時のピーク量を減少させます。
この機能は中小規模の洪水に有効のため梅雨前線や台風などの大雨が降った時は洪水の発生を遅らせ避難する時間を作ります。
水質浄化機能とは水を濾過して美味しくする機能です。
森林に降った雨水が土壌を通って河川に流れ出る間に雨水に含まれるリンや窒素を保留し、
土壌に含まれているミネラルなどが適度に溶け出すことで美味しく綺麗な水が河川に流れ出します。
水源貯留機能とは森林内の土壌を雨水が緩やかに浸透することで雨が降らない日も河川に水が流れ続ける機能です。
雨水が土壌を通る際に土壌内の隙間が大きいところは速く、狭いところは緩やかに水が浸透するため河川に流出する時間が遅れます。
そうすることで、河川の量を安定させます。
土砂災害防止/土壌保全
土砂災害防止/土壌保全機能とは降水時に流出する土砂を抑え土壌を安定させることで土砂災害を防ぐ機能です。
健康的な森林は高木や下層植生が生息し冬になると落ち葉などが地表を覆います。
そのため、降水時に樹冠や下層植生が雨水を受け止め、地表に雨水が直接落ちることを防ぐことで、土壌の流出(主に浸食による)を抑え土壌の保全を行います。
また、高木が水平方向と下方向へ根を伸ばすことで岩盤と土壌を安定させる杭の役割を果たすことで表層崩壊を防ぎます。
物質生産
物質生産機能とは森林が木材や食料などの林産物を産出する機能です。
物質生産機能は多面的機能の中で1番分かりやすく目に見える機能で、私たちの生活に溢れています。
木材でいうと、スギ・ヒノキといった針葉樹を使った建材や合板、食料だとキノコやタケノコなどがあります。
生物多様性保全
生物多様性保全機能とは森林が野生動物の生息、生育地域となることで遺伝子、樹種などの生態系を保全する効果があります。
というのも、日本は国土の7割が森林のため、動物たちの生息地域は広く場所によって気候条件も異なるため同じ生物でも色や模様などが様々です。
さらに四方を海で囲まれているため固有種や固有亜種が多く生息します。
近年、森林の荒廃によって生態系が崩れ単純化しているという問題もあります。
文化
文化機能とは、四季に伴う色の変化によって人々の心を楽しませたり、歴史的建造物などと一体になることで名所となり文化的価値のある景観を構成します。
また、文化財や伝統工芸の材料供給による日本文化の維持、継承に関わり、近年では木育といった子供の成長に大きな影響を与えることがわかりました。
日本文化は木材とともに発展し、私たちの生活に必要不可欠なものとなってきました。
地球環境保全
地球環境保全機能には、地球温暖化緩和機能があります。
地球温暖化緩和機能は二酸化炭素吸収と化石燃料代替エネルギーの2つあります。
二酸化炭素吸収機能とは植物が光合成を行う際に二酸化炭素を吸収することで大気中の二酸化炭素濃度を下げ地球温暖化を抑制してくれます。
化石燃料代替エネルギーとしてバイオマス発電が注目されています。
伐採後に木材として売れない材をバイオマス発電で使うことで未利用材が燃料資源として価値を持ちます。
また、木材を燃焼させた時に出てくる二酸化炭素は立木の時に大気中から吸収した二酸化炭素であるため地球全体で循環している。
快適環境形成
快適環境形成機能とは森林によって私たちの生活がより快適になる機能のことで気候緩和、大気浄化、防音防風といった効果があります。
気候緩和機能とは森林の植物が太陽光を吸収し光合成を行う際に蒸散することで森林付近の熱を気化して気温を下げます。
この機能によって森林内は直射日光が少なく、気候の変化が抑えられているため夏場でも涼しく感じます。
大気浄化機能とは植物が光合成を行う際に、二酸化炭素だけでなく大気中に含まれている有害物質(一酸化炭素や塩素ガスなど)を吸収し無害化します。
また、葉に埃や黄砂などを吸着することで森林は空気清浄機の役割を果たします。
防音・防風機能とは森林の枝葉や幹に音や風のエネルギーを遮る効果です。
防音効果では高い周波数の音ほど防音効果が高くなる傾向があり、葉が生い茂っていればいるほど多くの音を吸着します。
防風効果では風下で樹高の20倍程度、風上でも樹高の2倍ほどの距離で風速を減少させます。
保健・レクリエーション
保健・レクリエーション機能とは森林の持つ森林浴効果や樹木から発せられるフィレンチッドによる心身のリラックス効果のことです。
森林内で行動することでストレスホルモンの低下や免疫向上など様々な効果があり科学的、医学的根拠が証明されました。
技術進歩によってデスクワークが増えてきた現代では、人間関係や運動不足などの様々な原因がストレス社会を作り出しています。
休日に家から一歩も出ないのではなく森林に行って心をリラックスさせてください。
最後に
いかがでしたでしょうか?
森林の多面的機能について簡単にまとめてみました。
森林には様々な機能があり私たちの生活を豊かで快適にしてくれます。
一方で、所有林の放置による森林の荒廃が起きています。
健康的でない森林は災害の原因の1つになり、地球温暖化による異常気象での災害の起こるリスクは増加してきました。
もし、所有林をどうすればいいか分からず放置している方は森林事業体や市町村に相談してみてください。
先祖が残してくれた森林をより良いものにするためには皆さんの行動が大切です。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。