森林の多面的機能の1つ文化機能とは?日本文化に深く関わっている森林

 

 

こんにちは

新人木こりのナカイです

以前ニュースで最近の子供は外に遊びに行かない(コロナ以前)というのを見ました。

僕が小学生の時は木登りや鬼ごっこをして遊んだ記憶しかないので少しジェネレーションギャップ?を感じました。

自然が周りにあるのに遊ばないのは勿体無いですよね。

日本は石油などの資源には恵まれていませんが古くから森林資源には恵まれています。

日本文化の多くが木を使っており日本文化=木の文化と考えてもそんなに違和感はないと思います。

今回は森林の多面的機能の1つ文化機能について話していきます。

文化機能とは

森林の持つ文化機能とは森林の四季にともなう色の変化で人々を楽しませたり歴史的場所や建造物と一体となり名所として文化的価値のある景観を構成しています。また、文化財に必要な材料を供給するなど日本の伝統文化の維持、継承に関わっています。

近年では子供から高齢者まで数多くの方に木工品を触ってもらい自分で作り、学校で木材生産について学ぶことで森林に親しみを持ってもらう木育活動も行われています。

景観

日本文化は森林と共に発展し森林もその地域の気象、地形、人々の暮らしの歴史と関わることで地域ごとの森林景観が生まれます。

代表例が世界遺産にも登録されている吉野です。

吉野の山には現在約200種類3万本の桜が密集しています。

桜がこんなに植えられているのは約1300年前が起源になります。

吉野は神々が住む桃源郷として考えられていました。

その後修験道の開祖が桜の木に本尊を刻んだものを山上々岳と吉野山に祀ったという伝承と修験道が盛んになった

ことで参拝客が多く訪れました。

また、本尊を刻んだ桜を神木とし献木と言う形で桜が植林され錯乱群集ができ吉野の桜を見に多くの歴史的人物が

訪れました。

1954年には豊臣秀吉が徳川家康、前田利家などの名だたる武将や茶人などを連れ花見に来たり、1680年頃に訪れた松尾芭蕉は吉野の景色を見ながら歌を読みました。

吉野の森林1つで四季の桜、歴史的場所、芸術といった複数の文化機能を持ちます。

吉野は日本の歴史になくてはならない存在です。先人が手入れ管理を続け今尚引き継ぎ手入れを行っている方がいるから今の吉野の景色があります。

京都の景観

京都は古くからアカマツを中心とした二次林によって景観が構成されていましたが、1960年代以降アカマツの数が減り景観が崩れています。

主な原因はマツノザイセンチュウによるマツ枯れや、エネルギー革命や化学肥料の技術発展によって人が

伐採や落ち葉広いなどで山に入らなくなり林床が肥沃化したことで広葉樹が生育、台頭してきました。

その結果、アカマツ林の多くが落葉広葉樹林や常緑広葉樹林へ移行してしまいました。

京都府は大文字山をなどをアカマツ林へ誘導するため天然林施業を始め、

古くの京都の景観を取り戻そうとしています。

しかし、吉野の桜や嵐山のように景観がメインの場所は少なく、多くの森林は意識されません。

景観は地域それぞれの雰囲気を伝える1つなので保全していくことは大切です。

ここまでは文化機能のうちの景観について話してきました。

ここからは伝統工芸や歴史的建造物、教育についてです。

伝統工芸を支える森

日本の伝統工芸品や歴史的建造物の多くが木材で作られています。

そのため修復や作成技術を後世に繋げていくために、材料となる木材や樹皮を供給する森林が大切です。

今森林の多くが放置、手入れされず荒れてしまっています。

もし神社仏閣の修復材料に国産材を使いたくても使えるものが無ければ何もできません

そのような事態にならないよう国有林の1部を使い「木の文化を支える森」活動があります。

この活動は全国で行われており、歴史的建造物の修復に必要なヒバやケヤキなどの材木を安定的に供給できるようにしています。

秋田県の工芸品である曲げわっぱに使用するスギ、首里城の修復に異様されているイヌマキなど全国24箇所で植樹活動が行われ木を育てています。

木育

木育って言葉耳にしたことないですか?

木育とは幼児期から木材と触れ合い深く関わることで、森林への関心や環境問題への理解、五感を使うことで脳が刺激され集中力向上や自ら考え行動する、森林浴での情緒安定など森林を通し子供に社会で必要な想像力、協調性、問題解決能力などを育みます。

木育はまず木に触れて感じてもらい遊んでもらうことで木に興味を持ってもらいます。

木製品はプラスチック製のおもちゃに比べ暖かく、シンプルな構造のため作り手次第で様々なバリエーションになります。

実際僕もイベントで子供に様々な形の積み木で遊んでもらうと、みんな違った遊び方をします。

次に木工品を自分で作ってもらいます。

自分で作ることで何をどのように作るかを考えるので創造性と計画性を育めます。

また、作るときに上手くいかない(問題が起きた)場合に自分で解決することで問題解決能力も鍛えられます。

最後に理解してもらいます。

今まで触れて作ってきたものが、どのようにしてここまで来たのか。

森林の働きやなぜ伐採を行うのかなどを理解してもらうことで森林により興味を持ってもらえるのを期待します。

室内で行えることを書いてきましたが、

小さい頃に外に出て木に触れることで様々な菌にふれ免疫力を育み、森林で遊ぶことでリラックスができ情緒が安定します。

実際にドイツの森の幼稚園に通っている子は普通の幼稚園生に比べ落ち着きがあり健康だそうです。

最後に

いかがだったでしょうか?

森林の文化機能について書いてきました。

日本文化に関わりが深く、最近では教育に良いとされている森林。

四季で変わる山の色など感じて一句なんていかがですか?

是非、コロナが治まったら森林林業関係のイベントにいらしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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