私たちの生活を支えている森林の多面的機能の一つ物質生産機能とは?

 

 

 

以前の投稿で森林の持つ多面的機能の内、土砂災害防止/土壌保全機能についてお話しさせていただきました。

今回は森林の多面的機能のうち目に見えて私たちの生活に深く関わっている物質生産についてお話していきます。

物質生産とは?

物質生産とは木材、食料などの林産物を産出する機能を指します。

「それだけ?」って声が聞こえそうです、、

私たちの生活には木材があふれており、生活を支えています。

普段私たちが生活の中で使っているものを紹介していきます。

それも木材?

多くの方が木材の使い方として思い浮かぶのは、建築用材と食料だと思います。

この2つは比較的目にしやすく森林らしさを残しています。

建築用材とは木造建築物に使われる木材のことで、柱や梁から化粧材、合板、内装材などを総称します。

また、木造建造物は数多く残されており世界一古い木造建造物の法隆寺に使われているヒノキは1400年以上たった今でも腐ることなく使われています。

他にも茶室の柱に使われている北山杉の磨き丸太や屋根に使う竹など日本は森林資源が豊富で日本文化にも大きく関わっています。

森林の物質生産性には食料も含まれます。

この食料を特用林産物と言います。簡単に説明すると森林から生産されたもの、もしくは森林を起源とするものでキノコやタケノコなどを指します。

特用林産について詳しく書いた記事がありますのでこちらも是非読んでみてください。

これも特用林産⁉︎身の回りにある特用林産と家でも行える栽培方法を教えちゃいます | 株式会社アーボプラス (arborplus.jp)

建築用材と同じくらい需要が?

今、建築用材と同じくらい木材が使われているのは紙・段ボール類です。

どのように木材から紙を作るかご存知ですか?

紙の原料になるのをパルプと言います。

パルプは樹木の樹皮を除いた部分を細かくチップ化、すりつぶし、同一の厚みにします。

木材は植林木や間伐材などを使います。

薬品を入れ高圧高温を加えることで樹木のリグニンを溶かし繊維を取り出します。(蒸解工程といいます)

取り出した線維は異物を除去し薬品を洗い流します。

この工程で大部分が除去されますが、一部残ったリグニンを酸素で分解します。

薬品でパルプの漂白を行います。用紙が白く木材が原料のように見えないのはこの工程があるからです。

漂白を行ったパルプはワイヤーに均一に敷き水分を落とします。

ある程度水分が落ちるとフェルトが敷かれたロールでプレスを行い、蒸気で熱した筒に接着し乾燥します。

その後、紙の表面に塗料を塗り熱風を充てることで乾燥し光沢をつけ完成します。

また、材料が針葉樹だと取り出せる繊維が長く丈夫な用紙になり、広葉樹だと繊維が短く取れるためきめ細かい用紙になります。

この技術は1854年頃に粉砕機が開発されたため確立しました。

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用紙が世間に普及する以前、日本で古くから使われていたのが和紙です。

和紙もまた植物の繊維から作られています。材料はミツマタ、コウゾ、アサなどが使われています。

ミツマタやコゾウなど栽培しやすく繊維が取りやすいです。

麻紙は最も古くかあら使われていましたがコウゾは栽培が簡単だったため増産がしやすくコウゾを原料とした和紙が普及しました。

コウゾを原料とした和紙を穀紙といい枝の樹皮を原料とします。

製作工程は洋紙とは異なり薬品を使わない古くからのやり方を職人の方が引き継いできています。

燃料としても活躍

エネルギー革命が起きる前は燃料としても使われていました。

炊事、風呂などに使われ多くの人が山に入り枝葉を集め、丸太を割って薪を作っていました。

炭作りを行っていた家もありました。

私の先祖も薪作りを行っていたようで炭窯(山の斜面に穴を掘った簡易的なもの)跡があります。

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木材は今でもピザ窯やバーべキューの燃料として使われています。

また、炭には消臭機能がある為、竹炭をクローゼットや車などに入れておくとのもオススメです。

伝統工芸品の多くが木材

日本の伝統工芸の材料の多くは材木が使われおり2つほど紹介していきます。

1つ目は日本の工芸品の一つである漆器です。

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漆は山や耕作放棄地に漆を植林して漆を採取しています。

採取の仕方は植林して3~6年経った直径20センチの漆の木の樹皮に傷をつけます。

傷をつけることで樹液が出てきます。この樹液をヘラで一つずつ集めていきます。

そのため少量しか採取することが出来ず貴重なものとなっています

樹皮に傷つける際、深く傷つけすぎると木の状態が早く悪くなりその後の採取にも影響が出ます。

樹皮に傷をつける行いは樹木を弱らせてしまいます。その結果採取可能なのは数年で採取できなくなると伐倒、萌芽更新を行います。

この方法を殺し掻きといい、日本で主体となっています。

採取した漆を木工品に重ね塗りしていきます。

重ね塗りしていくことでより濃く木工品に染み込み良い色になります

2つ目は秋田県の大館曲げわっぱです。

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大館曲げわっぱはスギの柾目板を蒸した後手作業によって曲げて作ります。

この曲げの作業は蒸した板が冷める前に行います。そのため曲げを行っている板からは蒸気が出ています。曲げたら固定し乾燥させます。

乾燥した板を接着剤で止め樺縫いをしていきます。

樺縫いとは桜の樹皮を使い板と板を縫って止める手法で職人が1つ1つ行います。

その後、底をはめて仕上げ塗装していきます。

1つ1つが手作りで古くからの技法を引き継いで作っています。

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この2つは生活に取り入れやすく手軽にリラックス効果を得ることが出来ます。

最後に

森林の物質生産性によって木材は私たちの生活に深く関わっておりなくてはならない存在です。

しかし、近年林業従事者の減少や放置林といった問題を抱えています。

手入れを怠れば森林の物質生産機能が落ちてしまいます。

この記事を読んで日本に深く関わっている森林に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。