こんにちは、ナカヤマです。
皆さんは、樹木の種類をどのくらい見分けることができますか?
私はかつてほとんど見分けられませんでした…。
でも、植物に興味を持つようになり、図鑑で調べながら名前を知っていくと、
なんとなく見ていた植物たちが実に多様な生き方をしていることに驚かされました。
けれど野草を中心に観察していたため、樹木の同定は苦手でした。
むろん、日頃から木に親しんでいる林業・木材関係の方は見分けのプロ!と思いきや「自分たちが普段扱う樹木以外は名前を知らない」そうです。
樹木を見分けられるようになると山に入るのが100倍楽しいです!
今回は、樹木を見分ける際に必要な3つのポイントについて紹介します。
初めにどこを見ますか?
さて、皆さんは樹木を見分ける手段として、何を最初に観察しますか?
花、果実、葉っぱ、樹皮…。見分けるための要素は色々とありますよね。
もちろん、サクラやウメ、キンモクセイ、ツバキ・・・などの花を愛でる樹木であれば花を、モモ、カキ、リンゴ、ミカンやユズなどの柑橘類・・・などの果樹であれば、果実を確認するのが最も簡単です。
けれど、花や果実は一年中ついているわけではありません。
サクラのように、ものの数日で散ってしまうことも。
木の種類を知りたいとき、花や果実のついている時期ではなかったら、見分けの決め手にはできません。
樹皮の色合いやひび割れの入り方なども見分けの要素として役立ちますが、樹皮は成長段階によってだいぶ違いますし、表面に苔がついていたり、ツタが絡んでいたりすることも多く、樹皮だけで種類を見分けるのはなかなかに難しいといえます。(プロの木こりや製材関係者は樹皮と木口だけで樹種を見分けるそうです)
ここで活躍するのが「葉」です。
もちろん、葉以外に花や果実、樹皮の特徴も合わせて見ていけばいいのですが、最初に葉を観察することで樹類の同定がより簡単になります。
では、3つのポイントをご紹介しましょう!
①常緑?落葉?
樹木には一年中葉を落とさない常緑樹と、秋に紅葉し冬の間は葉を落とす落葉樹があります。
常緑樹の葉の多くは、緑が濃く、厚みがあり、てかりを持っていることで見分けられます。
スギやヒノキなどの針葉樹(葉が針のように細い樹木の総称)の多くは常緑樹ですし、ツバキや柑橘類、クスノキなども常緑樹です。一年中葉があって目隠しなどにもなり、生け垣として植えられる種類も多い樹木です。
反対に、落葉樹は常緑樹に比べて緑が薄く、厚みもあまりなくて柔らかい葉をしています。
カエデやサクラ、イチョウ、クヌギ、コナラなどが落葉樹です。
このように、まずは葉を見て常緑樹か落葉樹かを見分けてみましょう。
②葉の付き方
ほとんどの樹木の葉の付き方(葉序)は2種類に分けられ、枝に対して葉が対につく対生(たいせい)と、枝に対して葉が交互につく互生(ごせい)があります。
キンモクセイや紫色の実がきれいなムラサキシキブなどが対生、カキ、アラカシ、スダジイなどは互生です。
このように、①②を合わせると、常緑の対生or互生、落葉の対生or互生、と4つのグループに分けることができます。
葉の形
葉は樹木ごとにいろいろな形をしていますよね。
ポイントは、鋸歯があるか全縁か、分裂葉か不分裂葉か、です。
鋸歯、というのは葉のふちにあるギザギザのこと。
ヒイラギやクリは鋸歯がとても分かりやすい樹木です。
反対に、全縁というのは鋸歯がなく葉のふちが滑らかなものを指します。
サカキやユズリハ、クロモジが全縁です。
そして、分裂葉というのは多くのカエデ類やヤツデなどのように、葉に切れ込みが入っているものを指します。
切れ込みの数で三分裂や五分裂などともいいます。
なので不分裂葉というのは、切れ込みのない葉、つまり多くがいわゆる「葉っぱ」の形をしています。
では、いよいよここからが種類を特定していく最終段階です。(樹木の種類を調べる際、図鑑が手元になければ、葉を1、2枚持ってかえることをお勧めします。その際、必ず対生互生をチェックしておいてくださいね!)
ケヤキによく似た木はな~んだ?
例として、街中でもよく見られるケヤキを観察してみましょう。
ケヤキの葉を先のポイントに照らし合わせると、次のようになります。
①厚みがなく、てかりを持たない落葉樹の葉
②枝に対して交互に葉がつく互生
③はっきりとした鋸歯があり、切れ込みを持たない不分裂葉
これらの特徴をあわせ持ちつつ、微妙に特徴の異なる樹木がケヤキとは別に2種ほど見つかることが多いと思います。
おそらくそれはエノキとムクノキ。
この3種は似たような環境に生えていることも多く、特徴も似ている部分があるため、葉を用いた見分けの練習としてちょうどよい種類です。
私も見分け方のポイントを知るまではケヤキとエノキをよく混同していました。(今になったらなんで?!と思いますが…)
この3種で迷ったら、一番に確認するのは鋸歯の形。ケヤキの鋸歯は丸みを帯びた波形なのに対し、ムクノキの鋸歯は角ばっています。エノキも鋸歯が丸みを帯びますが、鋸歯が葉の先端から半ばあたりまでしかありません。
では、樹皮はどうでしょうか?(ある程度老木であることが前提。)ケヤキは鱗状に樹皮がはがれ、ムクノキは短冊状に樹皮がはがれていきます。
エノキは横方向にしわが入り、象の皮膚のように見えるのが特徴です。
そして樹形(木全体の形)。
ケヤキとムクノキは箒をひっくり返したような形で、伸びた幹の先から枝分かれしていきますが、エノキは低い位置から枝分かれしやすく、こんもりとした樹形になります。
ここまで観察できたら、ケヤキ、ムクノキ、エノキの違いがよくわかるようになるのではないでしょうか?例として樹皮や樹形の特徴もあげましたが、これらの3種の違いは葉の特徴のみでわかる場合がほとんどです。
このように押さえるべきポイントがわかっていると、樹類の同定がより早くて簡単です。
ほかにも、葉柄(葉の柄)の長さや葉脈、毛の有無、香り…などが特定する手がかかりになります。
最後に
種類が多くて、特徴もいろいろあって覚えきれない!となりますが、そこはやっぱり練習と慣れ!です。
今回は全く種類がわからない木を知る、という前提でポイントを紹介しましたが、これはあくまでも一例。
自分なりにわかりやすく、覚えやすい特徴を見つけていくのも楽しいもの。
そうしていくうちにきっといろんな木と知り合いになれますよ!
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最後まで読んでいただきありがとうございました。