天然立木乾燥材とは

一言で表すと『樹木を立たせたまま天然乾燥させた材木』です。

木材の乾燥方法は大きく分けて人工乾燥と天然乾燥があります。

人工乾燥は木材乾燥機に製材品を入れ、温度や気圧、湿度、高周波を操作し強制的に水分を引き出し、乾燥させます。

普通の天然乾燥は製材品を桟積みしたうえで、日陰に置いておくことで水分を蒸発させ乾燥させます。

天然立木乾燥と普通の天然乾燥の違いは・・・

森林内で立たせたまま乾蒸散させ、さらに葉枯らし乾燥を行った

天然乾燥方法です。

すぎ 立木

一般的に伐採したばかりの丸太(原木)の含水率は200%ほどあります。

製材品として建築に使うには20%くらいまで乾燥させなければいけません。

樹種や製材品の大きさや形によって違いますが、人工乾燥では1週間、天然乾燥では6ヶ月〜1年ほど時間がかかります。

 

しかし、天然立木乾燥を行うと丸太(原木)の段階で含水率を最大40%ほどまで下げることができます。

ここから製材、桟積みと一般的な天然乾燥と同じ手順で乾燥を行います。

樹木は植物なので個体差がありますが、丸太(原木)の時点で含水率が下がっているので短期間で乾燥させることが可能です。 

また、天然立木乾燥をさせることによって心材部分のアクが抜け色味が良くなります。

桟積みしたスギ

京都では1955年頃から林業架線技術が、1960年頃からチェンソーが普及し始め一気に林業、木材加工の機械化が進むこととなりました。効率的な製材機も人工乾燥機の普及もこの時期と重なります。

高度経済成長と相まってそれまでとは比べ物にならないほど木材の流通が活発になりました。

以降、生産性の向上、短期間の出材、納品が課題となり、現代もその流れのなかで木材が流通しています。

結果、現在の一般的な建築に利用する木材は時間のかからない人工乾燥が主流になっています。

それ以前の林業は、重力の活用と人力、動物の力しか搬出方法はありませんでした。修羅、雪引き、木馬、馬搬などの方法です。

集めた原木の運搬は一部には森林鉄道がありましたが、京都では筏を組んだ水運が主流でした。

樹木を森林内で如何に軽くするかが全行程の作業効率を大きく左右していました。

その為、昔は葉枯らし乾燥が主流でした。もちろん木材乾燥機も普及していなかったので天然乾燥です。今とは時間の流れるスピードが全然違っていたんですね。

山の男達

樹木を天然乾燥して材木として使うのは人類の歴史、遥か太古から変わらない方法なのです、ここ数十年を除いては。

『天然立木乾燥』は昔ながらの天然乾燥のデメリット、乾燥にかかる時間を短縮しながら、木材の良さを引き出す乾燥方法です。

詳しく知りたい方は是非お問い合せください。