私たちは枯れ木などの危険木や神社仏閣の巨木を伐採する特殊伐採を行っています。
木を扱う道具は専門のものが少なため他業種の道具を組み合わせたり、代用をするなど試行錯誤して現場で扱っています。
そんな道具や組み合わせ、その良し悪しを現場の経験を踏まえて書いている記事になります。
山林道具はあまりインターネット上でも情報が出回おらず、何を選んで良いのかわからないことが多々あります。
そんな悩みを解決すべく、プロが使用している道具の良し悪しを直接みなさんにお届けしています。
昔の日本では林業が盛んに行われており、木材を運ぶ道具はいくつもありましたが、近年では鍛冶屋も少なくなり道具が出回らなくなりました。
しかし今でも丸太を運ぶのに使用され続けているのがトングとトビです。
今回はそんなトングとトビについて紹介していきます。
目次
木材トング(リフティングトング)とは
リフティングトングはハサミのような形状をしています。
先端が内側に向いているため丸太を挟み持ち上げると、重みで丸太に先端が食い込んでくれます。
また、持ちやすいように取っ手がついているので直接手で丸太を運搬するより、トングを使用した方がはるかに楽に運べます。
一方で、運ぶ材によって先端がうまく刺さらず、抜けてしまうこともあります。
例えば、広葉樹は樹皮が薄かったり材が硬いこともあるのでうまく刺さらないことが多いですが、逆に針葉樹は樹皮も厚く材も柔らかいので簡単に先端が刺さり運搬することができます。
トビとは
トビは先端がトンビのクチバシに似ているためトビと呼称されています。
その由来の通り先端が鋭く尖がり丸太をつつけるような形状をしており、木棒の先端にクチバシがついているイメージです。
丸太を移動するときその鋭い先端利用し、丸太に引っ掛けて引き寄せる林業道具です。
トビも丸太から外れることがあり、最初に思いっきり丸太を突かないとうまく先端が入り込んでくれません。
特に広葉樹はその典型例です。
リフティングトングとトビの違い
リフティングトングとトビの違いは形状からわかるように両刃か片刃かの違いがあります。
両刃で掴むことができるのがリフティングトングで片刃で引き寄せることができるのがトビです。
そのほかの違いについて下記で詳しく解説します。
利用目的の違い
トングとトビにもそれぞれ使用目的が異なります。
トング
トングは丸太を持ち上げて運ぶ林業道具です。
手で持つのが大変な時にはトングを使用すると、持ちやすく楽に運ぶことができます。
丸太が地面についており、持ち上げにくい時にもトングはとても役に立ちます。
持ち運べる大きさはトングの種類によって異なりますが、直径35cm以下の木材を掴むことができ、小〜中径木の集積の時に使用できます。
トビ
トビはどちらかというと丸太を引き寄せる林業道具です。
トビは太い材でも引っ掛ければ丸太を移動させることができます。
さらにテコの原理で重い材でも浮かすことができます。
丸太をトラックに乗せる時によく使用させ、ここにはめたい!という時の微調整にとても役立ちます。
持ち上げて運ぶ道具ではないことを押さえておいてください。
サイズの違い
サイズによっても使用する場面が異なります。
使用場面に適したサイズを扱うようにすれば作業の効率も上がってきます。
トング
ハスクバーナの場合は直径20cmと30cm用があります。
他のメーカーでも直径20cm〜30cm用がほとんどです。
30cm用のトングでも40cmぐらいの直径までは使用した感じ持ち運べます。
最大径cm | 本体の大きさ(長さx幅x高さ)cm |
20cm | 31.2 x 29.4 x 2.7 cm |
30cm | 43.1 x 13.9 x 1.2 cm |
メリットデメリット
20cm
トングは作業中に携帯していると枝などに引っかかり嵩張ってしまうのがネックなところですが、サイズが小さいほうは比較的コンパクトなため腰袋やカバンに入れ易いのがメリットです。
デメリットとしては、丸太を持ち運べる径が小さいため太めの丸太になると持ち運ぶのが難しいです。
30cm
対応できる丸太の径が広がるのがメリットです。
しかし、小さい方と比べてトング自体が大きく嵩張ります。
トビ
トビは柄の長さでサイズが決まります。
最長でトビは1m80cmほどで、短いのは38cmほどになります。
また、柄の太さも重要で、重い材を扱うのであればしっかりとした太い柄のトビを選んだ方が良いです。
私たちが使用している上記の写真はトビの中でも太い柄を使用していますが、それでも折れてしまうので柄にも注意が必要です。
長さcm | 本体重量g |
38cm | 842g |
60cm | 500g |
180cm | 1650g |
メリットデメリット
長い方
取っ手が長いので、てこの原理をうまく使用することができるのが特徴で、短い方に比べると重い材でも比較的楽に動かすことができます。
逆に長い方のトビは山の中のように枝や樹木が生い茂っているような場所では取り回しがしにくいのでスペースがあるところで使用するのに向いています。
短い方
短いトビは腰につけて携帯することができるので山の中で扱うには便利な道具になります。
しかし、柄が短いのでテコの原理があまり発揮できず材を動かすには長い方に比べて力が必要になります。
使い所
トングは持ち上げて運びたい時に使用します。
山林内では木の根や石、倒木などの障害物があり、持ち上げて運ばなければならない場面が多いです。
そんな時にトングを携帯していると楽に持ち上げて丸太を移動させることができます。
トビはロープやワイヤーで丸太を移動させている際によく使用します。
山林内では障害物が多く、引きずって移動させていると丸太が障害物に引っ掛かってしまうことが多々あるため、トビでズラして移動させることができます。
人力搬出・集積には「リフティングトング」
現場によって伐採した樹木を搬出するのか、現地に集積するのか異なります。
現場の状況によっても人力で伐採した樹木を移動させるのか、ウィンチを使用して移動させるのか周囲の状況を見て判断します。
人力で搬出や集積を行う時には持ち上げて運ぶことができるトングが向いています。
トビで引きずって運ぶよりも取っ手のついているトングを使用し持ち上げて運んだ方が地面との摩擦もなく楽に長距離を移動させることができます。
ウィンチ使用時の集積には「トビ」
現場にスペースが確保できアンカーとなる立木がある場合はエンジンウィンチかロープウィンチを設置し集積・搬出を行うこともあります。
上記で説明したように引きずって伐採した樹木を移動させることになるのでどうしても木の根や倒木などに引っ掛かってしまいます。
トビはテコの原理を使用することができ重い材でも少しの距離なら浮かすことや移動させることができるので、引っ掛かってしまいそうな場所を避けながらウィンチで引っ張ることができます。
おすすめの商品
トングとトビの商品は数多くあります。
その中から選ぶポイントとしてはちゃんとしたメーカーが出しているのかというところです。
マイナーなメーカーが出している商品は丸太の刺さり方が悪かったりします。
私がおすすめするメーカーとしてはハスクバーナの商品です。
林業道具を専門に扱っている大手メーカーなので安心して使用することができ、壊れた時にも保証や修理が確実に行えることが良い点です。
リフティングトングのおすすめ商品
トングはハスクバーナのメーカーが安定しています。
最後に紹介するツールベルトもメーカーを揃えた方がサイズも合ってくるのでハスクバーナのトングがおすすめです。
トビのおすすめ商品
トビは長さの種類が豊富で紹介している長さ以外にも様々なサイズがあります。
基本的には短いトビと長いトビを持っていた方が林業作業も捗ります。
ハスクバーナのトビは38cmの短いものしかないので長いトビを使用したい方は下記のから選ぶとこをおすすめします。
トビの先端の部分をちょん掛けと言いますが、そこが尖りすぎていると作業中携帯していると危ないので、しっかりとしたカバーをつけた方が良いです。
付属で持っていたら便利なアイテム
林業では作業範囲が大きく移動距離も長いケースが多いです。
その中で1回道具を落としてしまうと、見つけるのにとても時間がかかってしまうこともあり、最悪失くしてしまうことも多々あります。
林内作業は最低限のものしか持って行かないのが一般的で、言い換えれば一つ無くしてしまうと苦労してします。
林業道具の管理は作業を進める上で重要なことで、失くしてしまうと作業が進まなくなってしまいます。
失くさず携帯しやすい補助道具としてツールベルトを紹介します。
ツールベルト
リフティングトングとクサビの両方を入れることができるハスクバーナのツールベルトです。
トングは特に枝に引っかかり腰袋から抜け出してしまうことが多々あります。
私も森の中で普通の腰袋に携帯していたら、どこかに落としてしまい、合計2本無くし後悔しています。
トングにあった形状の入れ物に入れないと私と同様にすぐになくなってしまうので、トング専用の入れ物を使用することをオススメします。
トングのみを入れるツールベルトです。
トングだけを入れたいという方におすすめできる商品です。
最後に
今回は木材用トングとトビについて比較しながら紹介しました。 林業道具の中では持っている便利な道具の上位に入るもので、山に 入る時や、集積をする時には必須の林業道具になります。
使用すると体の負担も減り、作業効率が上がります。 この機会にぜひ試してみてください。
アーボプラスはお客様のご要望を聞き予算の中で最大限お客様の利益になるよう提案・作業しています。
株式会社アーボプラスFacebook、Instagramに危険木の見分け方など様々な情報を載せています。
危険木・支障木の伐採を考えている方はぜひ弊社にお問い合わせください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。