こんにちは、ナカイです
段々と暖かくなってきましたね。
夏になれば旬の美味しい野菜や果物が出てきます。
僕はきゅうりやとうもろこし、メロンが大好きでこの時期になると楽しみになります。
暖かくなると出てくるのは野菜だけでなく動物も出てきます。
そのため、獣害のニュースがこの時期になると報道されていますよね。
獣害は農業だけでなく林業にもあるんです。
今回は獣害について書いていきます。
獣害とは
獣害とは野生動物によって起こされる農作物や樹木への被害のことを指します。
日本における農林業の主な獣害はシカ、イノシシ、クマ、サル、ネズミによって起こされることが多く、林業では年間5000haの被害が出ています。
林業的野生鳥獣被害はシカ、クマ、ネズミ、ウサギです。
シカ
皆さんもシカによる被害は聞くと思います。
日本で起きている獣害の多くがシカ害で、シカによる森林被害は7割を占めています。
ニホンジカは一時期乱獲によって絶滅危惧種に指定されるほど個体数が減少しました。
しかし、保護政策と天敵のニホンオオカミの絶滅によって大幅に増加し今日では害獣として扱われます。
現在、全国に生息するニホンジカは平成29年度末の推定個体数は192万〜329万頭(環境省調べ)いると考えられています。
シカによる主な被害は幼齢木や下層植生の摂食、皮剥ぎやツノ研ぎによる樹木の価値低下です。
シカの食料となる植物は多いため、植林した苗と下層植生を食べてしまいます。
伐採地に植林した苗は柔らかく、シカの届く範囲に新芽がつくためご馳走です。
植林した苗を頭からかじります。
シカの唾液は酸性のため苗木が枯れてしまうことも多いです。
また、手入れを行い林床に光が入り下層植生が生えてもシカがほとんど食べてしまうため土壌がむき出しになってしまいます。
土壌がむき出しになった結果、台風などの大雨が来た時に土砂災害が起きてしまいます。
冬の食べ物が少ない時期には樹木の形成層を食べるため、スギ、ヒノキの樹皮を捲ります。
シカの皮剥ぎにはしたから上に剥くといった特徴があります。
樹皮を捲くられると、菌が入ったり腐ったりすることで樹木は弱り枯死してしまいます。
クマ
クマによる被害と言われると農作物のイメージが多いと思います。
しかし、クマの被害は林業でもあります。
クマは樹木で爪を研いだり、樹皮を剥がして形成層を食べたり、木の上にクマ棚を作ります。
「クマだなって?」と思う方もいると思います。
クマ棚とはクマがドングリなどの木の実を食べる際に枝を折って自分の方に持ってきて食べます。
実を食べた後の枝葉はお尻に敷いていくため鳥の巣のようになります。
この熊だなは実がなる樹種に見られ、木の枝を折ってしまうため木が弱る原因の1つになります。
クマは木の実以外にも食料として樹皮の内側にある形成層(柔らかい樹皮)も食べます。
内側の形成層を食べるために粗皮(一番外側の硬い樹皮)を爪で剥ぎます。
そのため、人工林(スギヒノキ)の被害も多いです。
クマはぎの特徴は上から下に樹皮が捲られるため地際でバナナのようになっているものもあります。
皮が捲られると、木の内部に菌が入って病気になったり、腐ってしまいます。
また爪研ぎを大径木で行う傾向があるため、クマ剥ぎや爪研ぎで長年育てたスギヒノキが傷付けられ腐らずに成長しても木材としての価値が下がってしまいます。
ネズミ
ネズミによる森林被害はシカの次に多く600ha(森林被害のおよそ1割)にも及びます。
「ネズミ?」と思う方もいると思います。
僕も最近知って驚きました。
ただし、森林に住んでいる全てのネズミに当てはまるのではなく、被害の多くが北海道に生息しているエゾヤチネズミによるものです。
他にも、ハタネズミやヤチネズミなど一部います。
ネズミは葉や茎、樹皮の形成層(地際付近)や根を食べるため、食害が酷い樹木は枯死してしまいます。
食害の被害は冬の積雪の時期に行われることが多いため気が付きにくく、雪解けした春に発見されます。
樹種によっても被害が異なりカラマツやスギ・ヒノキは食害を受けやすいです。
ネズミにも好き嫌いがあるんですね。
ウサギ
ウサギと聞くと可愛らしいイメージがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、ウサギは伐採跡地に植えた苗を食べる困った動物なんです。
特に近年普及しているコンテナ苗は苗が小さく柔らかいため好まれて食べられる傾向にあります。
ウサギは小柄なため、防鹿柵の穴をすり抜けて植林地に入ることができるます。
苗が食害にあったら、噛み後を見てください。
ウサギは綺麗な切断面で幹までかじります。
幹を噛み切られると苗は成長が止まってしまいます。
苗の成長が止まるとその植林地は苗を植え直さなければならないためコストがかかります。
実はシカよりも悪質なんです。
森林所有者からすれば激怒確実ですよね、、、
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は森林所有者視点から獣害被害について書いてみました。
森林経営者は所有林を荒らす動物たちのことを心良く思っていない方が本当に多いです。
しかし、野生動物が樹木を食べるのは、里山の減少による木の実の減少、狩猟人口の減少、天敵となる動物が人の手によって絶滅、開発によって生息地域が狭くなったため個体密度が上がり食料が足りなくなったためなどの様々な要因があり、人間の経済活動にも責任があります。
動物たちはその被害者だともいえます。
林業の目的は木材生産によって収益を得ることですが、森林環境を無視することは許されません。
獣害をもたらす動物たちも、虫も鳥もみんなが等しく森林の住民なのです。
彼らを無視して行う森林施業は本質的ではなく、持続可能な林業とは言えません。
木材生産に向かない森林は混交林化することや天然林に戻すことで、動物たちの生息地域に返すことも一つの方法だとおもいます。
綺麗事だと感じる方も居ると思いますが、アーボプラスは本気で森林の環境と経済性は両立出来ると信じています。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。