1300年たった今も立っている法隆寺、なぜ崩れないのか?木材の性質に注目

 

 

こんにちは、ナカイです。

僕の祖父母の家は木造住宅の家なのですが、築30年以上経過しています。

小学生の頃祖父から話を聞くと、祖父母の家にある離れは宮大工の方が立てたらしく最近の家には見られない大黒柱があります。

他にも屋根に使っている梁は前の家(築100年以上経過していた)のをそのまま使っているみたいです。

なので、家に使われている木材で1番古いものは130年以上経過しています。

この話を聞いた当時の僕は「長い年月が経過している木材なのに何故朽ちて折れないのだろう?」と思いました

しかし、よく考えれば日本の木造建築物にはもっと長い年数が経過しているものもあります。

今回は世界で最も古い木造建築物法隆寺の木材について書いていきます。

法隆寺とは

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法隆寺は奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内にある聖徳宗の総本山です。

607年頃(飛鳥時代)に建立してから1度法隆寺が全焼し711年頃に再建されたと言われており現在1300年以上もの年月が経過しています。

1993年にユネスコ世界遺産に文化遺産として登録され世界最古の木造建築物として有名で、建物以外にも様々な仏像や仏教工芸品があります。

木造建築物って1300年も経っているのになんで崩れないか不思議に思いませんか?

鉄筋コンクリートの耐久年数は60〜100年以上と言われており現存する最古のコンクリート建造物は114年になります。

ならなぜ法隆寺は今尚立ち続けているのか秘密は木材にあります。

木材の性質

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法隆寺の柱に使われている木材はヒノキです。

日本で古くから建築材料として使われ植樹・育林・伐採・建築の循環で育林される樹種の1つです。

法隆寺は代々宮大工が修繕・修復・点検を行っており、大規模な修理は何回か行われてきました。

1番最近では1934〜1985年(第2次世界大戦を挟んで)に、1度全ての木材を解体し傷んでいるとこを差し替えて組み直すという大規模な修復工事が行われました。

当時修復を行った宮大工は、木材がかなり傷んでいるように見え多くの部分を差し替えなければならないと考えていたそうです。

しかし、柱を取り出し鉋(かんな)をかけると生木と同じ香りが漂っていたと言います。

その結果、新たに取り替えたのはほんの一部分(雨風に直接さらされる場所)だけだったそうです。

外が傷んでいるだけで、中は新鮮に近い状態なんて不思議ですよね。

近年の化学調査・研究によって、なぜこのような長い年数の間崩れなかったのか様々なことが分かってきました。

1つ目はヒノキは伐採後に強度が上がります。

ヒノキは伐採後200年間程は強度が上がりピークで伐採時の120%にまでなり、その後強度は緩やかに低下していき1000年で伐採時と同等の強度になります。

つまり、ヒノキは1200年間強度が伐採前より落ちることはありません。

2つ目は防虫防菌成分です。

日本は土地の気候上木造建造物で風が通りにくい床下は湿度が高くなりやすくシロアリやカビの格好の生息場所です。

防虫面では、ヒノキにはαカジノールという成分が含まれておりダニやシロアリを防ぐ効果があります。

最近は伐採してきたヒノキを高温乾燥するため防虫効果が薄れてあまり感じれないですが、天然乾燥によって乾いたヒノキは現代のに比べ防虫効果が強いと考えられています。

ヒノキの木屑内ではダニが死滅するという実験結果もあります。

その事が経験的に分かっていたのか先人は多くの建造物にヒノキを使いました。

防菌面では、ヒノキの精油成分にはクロカビや木材腐朽菌などに強い抗菌作用がある事が分かっています。

3つ目は伐採時期・使用材です。

法隆寺で一番古いとされる五重塔の心柱は計測可能内の外皮によると594年に伐採されています。

他の柱は650〜690年頃に伐採されているという調査結果があり、心柱は前の五重塔の心柱をそのまま利用したかもしれません。

法隆寺で使われている材は全て克山のヒノキを使っています。

樹木はその地で成長するため、日本の四季・風土に耐える事ができます。

解体することも前提に?

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木造建築物はどれも日本の気候(高温多湿・四季)によって劣化してしまいます。

特に神社仏閣のような歴史的建造物は維持が大切であり、劣化が激しい場合は新しい木を根継ぎ法等の修理方法で直します。

柱等の部分的取り替えは木造建築(古い時代の)だからこそ行える方法で、柱や梁が綱手や仕口などで接合されているからです。

例えるなら、ジクソーパズルのピースの凹凸のような感じです。

古い木造建築は近年の木造建築のように釘やネジ等をあまり使っていないません。

先人は修復時に解体することも前提に建てていたと考えられ今とは違い木を使い回す(解体前に使われていた木材を新たに建てる建造物に使う)ことで長い年月の間使い続けられるようにしてきました。

木材に感謝しできるだけ長い年月を使うことが先人の優しさに報いる方法だと考えたのかもしれません。

最後に

いかがでしたでしょうか?

世界最古の建造物である法隆寺に使われている木材について書きました。

先人が建てた建造物は現代の鉄筋コンクリートでは不可能な1300年という長い年月の建ち続けています。

森林が周りにあったからこそ経験や観察で気づいた木材の性質を最大限活かし、長い時間壊れない建造物を作ることはすごい技術だなと思います。

しかし、近年人々が森林に興味・関心がなくなり放置林が増え良質な木材が減っています。

材が不足しているため修復ができないような建造物もあります。

森林は後世に残す財産です。

私たちアーボプラスは先人の林業家たちが残してしてくれた様に、豊かな森林を次世代に残すため、皆様の森林の手入れ・管理をお手伝いをして行きます。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。