京都府立林業大学校に通った林業従事者が思う、就職する前に通って良かった点について紹介

 

 

今年の10月に京都府立林業大学校の生徒(2年生)が1ヶ月間インターンシップに来ていました。

自己紹介でも書かしてもらいましたが僕も京都府立林業大学校を卒業していて、実は、代表も卒業生なんです。

時期は被っていないのですが先輩後輩でもあるんです。

伐採現場で依頼主さんとお話しさせていただく機会があるのですが、「林業の専門学校なんてあるの?」と驚かれる事もあります。

今回は京都府立林業学校について通って良かった点を紹介します。

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京都府立林業大学校の学生がインターンシップに来てくれました

林業大学校に行って良かったこと

林業大学校は全国に設立され始めており、各校で特色・強みがあると思います。

今回は実際に通った京林大に行って良かったことを紹介します。

生活力

京林大に通っている学生のほとんどは学校の近くで下宿します。

京林大は京都府の真ん中(京丹波町和知)にあり、最寄駅に止まる電車が1時間に1本しかないため電車を使った通学はしんどいと思います。

学校が近くの下宿先を紹介してくれ年以上で多くの学生は入学と同時期に下宿します。

僕の同期は地方からの学生が多かったので全員京林大の近くに下宿していました。

学生の中には車やバイクで都市部から通学している学生もいました。

下宿はアパートで1人暮らしかシェアハウスのどちらかです。

そのため自炊、昼食の弁当(実習の日)、洗濯といった家事全般を自分で行わなければならず、この2年間の学生生活で就職後に一人暮らしをしても困らない生活力が身に付きます。

資格

1年生は入学して資格取得や座学から始まります。

というのも、資格を取得していないと機械やチェンソーを扱うことができません。

そのため資格は

・赤十字救急法基礎講習

・赤十字救急法救急員(万が一作業中に事故が起きても応急処置ができる様に)

・伐木等業務従事者特別教育(チェンソーを使った伐採作業に必要)

・刈払機安全衛生教育講習(草刈り機を使用した作業に必要)

・車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習(バックホーなど重機を使用する際に必要)

・車両系木材伐出機械等運転業務特別教育(高性能林業機械を使用するのに必要)

・不整地運搬車運転技能講習(原木をフォワーダ等で運搬する際に必要)

・機械集材装置運転業務特別教育(集材機を使用する際に必要)

・小型移動式クレーン運転技能講習(ユニックなど吊り上げ荷5t未満のクレーンを使用する際に必要)

・玉掛け技能講習(原木集材などの玉掛けに必要)

・業種苗生産事業者講習(スギ・ヒノキなど国が規制している育苗の生産・販売することが可能になる)を取得する事ができます。

「こんなに?」と思うかもしれませんが全部林業には必要な資格で、正直これでも足りないぐらいです。

ここまでの資格を個人で全て取得しようと思うと、費用も時間もかかります。

就職してから取得するのはかなり大変です。

最近では緑の雇用という制度で様々な資格を取得できますが、人数制限だったり、制度を受けるには認定事業体でなければいけなかったりと条件があったりします。

ちなみにアーボプラスで危険木・支障木の伐採をクライミングで行う場合にはロープ高所特別教育とフルハーネス型墜落制止用器具特別教育の2つの資格が必要です(林大では取得できないので自分で尼崎の神戸製鋼まで取得しに行きました。)

座学

京林大では伐採の実習や資格取得以外にも森林や木材にいろいろ学べます。

森林の植生・遷移といった森林環境、森林風致や木造建築、鳥獣害、特用林産、森林機能保全など林業以外にも森林に関係する様々な分野を勉強します。

森林の施業計画は素材生産や景観など何に重点を置くかで変わり、特に景観では樹木の植生や土壌の性質など様々な分野の知識が必要になります。

また木材の使い方や付加価値を高める方法、目利きなど実際の現場でも重要になる知識です。

僕個人としては、自分たちで選んだ原木をどの様に挽くか作成し、実際に挽いて販売したらいくらになるのかを計算して導き出すのが1番印象的でした。

何本も並んでいる原木の樹皮や木口からどのくらいまでなら化粧材(無節)が取れるのか、曲がりや腐りなどは無いか、など注意深く観察し、班ごとに1本選んで実際に製材し、どの様な材が出るのかを確認します。

思い通りの製材品に挽けた時の嬉しさは今でも覚えています。

研修

林大では様々な事業体を見学します。

この見学では川上(伐採などを行う素材生産業者)だけでなく川中(原木を製材し建築用材などを作る製材工場)、川下(製材品を販売する材木屋や工務店など)も行くので自分がどこの仕事につきたいのかを考えることができ、国材がどの様に使われるのか学ぶことができます。

地域や事業体によって考え方も様々で尾鷲の有名な林業事業体や吉野、北山杉といった林業地域での施業方法や考え方から大手製材工場、伝統工芸品や神社仏閣の建設などの木材の利用方法まで学びます。

京林大の卒業生は林業事業体だけでなく製材や木工品など様々なところに就職しています。

京林大は毎年ドイツの林業を見に行っていますが、僕の年はコロナウイルスの影響で行けませんでした。

インターンシップ

京林大ではキャップストーン研修と言われており、1ヶ月間の研修を2回行い自分が就職したいと思っている林業事業体の職場の雰囲気を感じます。

研修などで林業事業体に見学を行くことはあっても、普段どのように実務しているのか見ることはほとんどできません。

1年生の終盤に1週間インターンシップに行きますが、1週間では僅かなことしか学べないため、1ヶ月間でのキャップストーン研修では様々なことを経験できます。

僕はこの1ヶ月で伐倒の際に注目するポイント(枝、樹木の重心など)や高性能林業機械との距離感、クライミングした際の注意点、林大では学ばなかったガターカットなど多くのことを教えていただきました。

多くの学生がキャップストーンでお世話になった事業体に就職します。

僕はこの研修でプロの現場(スピードや技術力の高さ、体力など)を経験することができ、自分がこれから克服・成長しなければいけない点をいくつも発見する事ができました。

最後に

実際に通った学生が思う京都府立林業大学校の良いところについて書きました。

林業について何も知らずに林業事業体に就職するよりも1〜2年間森林への知識と伐採技術の基本を固めて就職する方が安全かつ理解と成長が早いと思います。

林業事業体に就職すると基本縦の繋がりしかないので、横の繋がりを作れるのは林業大学校だと思います。

今でも何人かとは連絡を取り合ってお互いの近況や新しい機械や技術について話しています。

真剣に林業関係で働きたいと思う人にはオススメです。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。