こんにちは、ナカイです。
僕は毎日林業ニュースというサイトで林業関連の記事を読んでいるのですが、7月1日にアップロードされた「社会の格差は木に現れる」という見出しが気になりました。
読んでいくと、1875年に創設された森林保護団体のアメリカンフォレストが、住む人の人種や所得によって樹木の分布状況が異なっていることが社会の不平等を悪化させていると考え、各地域に十分な数の木があるのかをTree Equity Scoreという指標にすることで可視化させようとしています。
「そもそもアメリカンフォレストとかTree Equity Scoreとかよくわからない」という方のために紹介していきます。
American Forests とは?
「アメリカンフォレストって?」聞き慣れないですよね。
アメリカンフォレスト(American Forests)は米国で最も古い全国的な非営利保護団体で、健全な森林の保護と回復に取り組んでいます。
都市から荒野まで健康で回復力のある森林を作ることで気候、水、野生動物、人等に利益をもたらすことを使命とし、林業の発展や森林の回復、植林を行うための場所に基づくパートナーシップや運動の構築を推進しています。
さらに、森林が持つ公益的機能や社会的、経済的利益が完全に実現され、全ての人々が公平に利用できる世界を想定し活動しています。
農村部の森林回復、都市の公平な樹冠、全国チャンピオンツリーの登録、森林政策、調査・レポートの5つの個別プログラム領域によって活動が構成されています。
現在、1875年に設立してから145年以上もの間にアメリカ合衆国全ての州で1000以上もの森林回復プロジェクトに資金を提供し6300万本以上の樹を植えることで主要都市や都市部での樹冠の拡大を支援しました。
アメリカンフォレストが力を入れているプロジェクトの1つが都市林業です。
都市林業とは、都市及び郊外における樹木の植林、手入れ、保護が定義され適切な場所、植える方法で植えられた木は人々や、気候にもたらす利益を促進します。
そのための1つとしてTree Equity Scoreがあります。
Tree Equity Scoreって何?
Tree Equityとは?
Tree Equity Scoreと言われて「そもそもTree Equityってなに?」と思うと思います。
Tree Equityとは全ての地域の全ての人々が受けれる重要な公共機能であるため保護しなければならない基本的権利です。
しかし、都市部の樹木面積と地方の樹木面積は異なります。
東京の都心部と地方を思い浮かべていただければイメージが持ちやすいと思います。
実はアメリカの樹木被覆(じゅもくひふく)の分布図と収入や民族の分布図に共通点が多く見られます。
収入が多く経済的に余裕がある人が住んでいる地域は樹冠が多く、低所得地域や一部の民族の地域では樹木がまばらに生えています。
アメリカンフォレストは全ての都市近郊を緑化することで樹木が人に与える様々な影響を平等に受けれる様に考えており、
樹木が人々に与える影響とは、快適環境機能(空気清浄、防音、蒸散等)や心身のリラックス効果等があります。
だからこそ、全ての地域で公平な樹木面積があることは社会的不平等への対処に役立つと考えています。
Tree Equity Scoreの魅力
そのため、2020年11月にアメリカンフォレストは都市の樹木被覆を可視化できるようにしたTree Equity Scoreを発表しました。
Tree Equity Scoreは樹冠と表面温度が米国の収入、雇用、人種、年齢、健康の要因とどの程度一致しているかに基づいてスコアを計算します。
このスコアは15万の近隣地域と486の都市部で利用することができ、皆さんが住んでいる地域や自治体に樹木がもたらす様々なメリット(健康、経済、環境)を誰もが受けられる十分な量の樹木があるかどうかを1〜100の数値で示します。(人口の70%以上がどこかの場所に住んでいます。)
Tree Equity Scoreは現状のスコアを科学的根拠に基づいてその地域の人々全員が樹木がもたらす様々なメリットを受けられるように必要な量の樹冠を決定します。
林業従事者や市役所職員等はこのスコアを使い必要としている(数値が低い)地域に植樹を行い、植樹に必要な資源や情報を得るように主張できます。
また、どこに植樹を行えば良いかまで計画することができます。
アメリカンフォレストは適切な場所に必要な量の樹木があることで地域の温暖化の抑制、社会的平等や公衆衛生の改善を促進させる要素として関心を持っています。
特に植樹が必要な都市部の地域は失業者が多く植樹することで、選定や掃除などの木の手入れ・管理の仕事や時が経過したら伐採し燃料や木工の材料として使うことで制作の仕事など雇用の増加や都市部のヒートアイランド現象の対策につながります。
Tree Equity Scoreの目標は486の全ての都市がそれぞれの地域で平等に木の恩恵を受けられる様になることを目指しています。
最後に
いかがだったでしょうか?
アメリカの都市部に生えている樹冠面積を数値化するTree Equity Scoreについて紹介しました。
収入や民族の分布と樹冠の面積の分布に共通点があるのも驚きです。
ただ僕もそんな経験があります。
僕は3年前まで東京の学校に行っていたのですが都市部は樹木なんかほとんど見られず、通学しているとだんだんしんどくなった経験があります。
そんな時に近くの山に散歩に行ってリフレッシュしてました。
京都に引っ越した時も市内ではなく周りが山に囲まれた地方で生活していました。
今、森林に関わる仕事をしているからこそ樹木の凄さ、効果を知っているので是非日本の都市部にも導入されたらなと思います。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。