日本は国土の7割近くが森林であり、神社仏閣から民家まで様々なところに樹木が生えています。
樹種によっても異なりますが、樹木は時間をかけて成長していきます。
自分の家に生えている木が父や祖父の代からあったなんて話も聞きます。
しかし、樹木が大きくなる時間の中で、樹木周辺の環境は変化してきます。
大きくなった樹木の周りには様々な保護対象物が建造されているなんていうのも珍しい話ではありません。
しかしそのような状況で樹木が弱ったり何かを建設するから邪魔になるなど様々な理由で伐採しようとしてもクレーンや重機が入れなくて伐採できない、といったことも起こります。
アーボプラスでは周囲に建物があり伐倒ができずクレーンや高所作業車などの重機が入らないような場所に生えている樹木の伐採を行います。
今回は樹上に上がるまでの方法と道具を紹介します。
クライミングで樹上から伐採するメリットを紹介
周囲を建築物で囲まれている樹木の伐採を行う場合、伐倒してしまうと建築物や路面など様々な物が破損してしまいます。
場所によっては国宝や重要文化財のすぐ横に樹木が生えているなんて場所もよくあります。
このような樹木を伐採する場合、伐倒が可能な方向があればその方向に伐倒しますが、伐倒ができない場合は上から順に伐採していきます。
特にクレーンや高所作業車の入れないような場所に生えている樹木はロープを使って樹上まで上がり伐採していきます。
ロープを使用し樹上から順に伐採していく方法にはいくつかのメリットがあります。
1つ目は場所にほとんど制限がありません。(伐採対象木が枯れている場合は登ることができません)
クレーンや高所作業車は作業範囲や経路に制限があります。
現場までの経路途中の橋が重量に耐えられなかったり、鉄板を敷かなければアスファルトが割れてしまうためなど様々な条件・準備が必要です。
しかし、樹上から順に伐採していく場合、道具と伐採した樹木を下ろすスペースさえあれば建造物と建造物の間の樹木でも伐採は可能です。
2つ目は作業費用を抑えることができます。
伐採対象木によっては高所作業車を使用するよりも費用を安く抑えることができます。
クレーンを使用すれば何人分もの働きをしてくれますが、道路を通行止めにしたり、鉄板を敷くなど費用が大きくなってしまいます。
ロープクイミングでは高い技術で柔軟に対応することができ、価格を抑えれるため、依頼者の負担を減らすことができます。
樹木に登る方法は様々ありハシゴや足場などを使えば重機が入れない場所でも登ることは可能です。
しかし、崩れるリスク、日数やコストが大幅にかかってしまうなどの様々なデメリットも生じます。
では普段樹上まで登るのでしょうか?
どうやって樹上まで登るの?
林業のことを知っている方なら『空師』という職業のイメージを湧くかもしれません。
空師は胴綱で樹木を登っていくので、よく知っている方には「胴綱だけで登らんのか?」と聞かれたこともあります。
針葉樹や広葉樹、周囲の状況などによって変わりますが、樹上に登る方法はいくつかあります。
今回はスローラインを使用した方法を紹介します。
「スローラインって何?どんな道具?」と思うかもしれませんが、スローラインとは樹上での特殊伐採作業によく使用される道具の1つです。
樹上で作業を行うには樹木を登らなければなりません。
しかし、木登りのように枝を1本1本登っていては時間がかかってしまいますし、樹種によっては枝が折れやすいなんてこともあります。
そのためメインロープを樹上にかけ、登っていきます。
しかし、メインロープは直径12mmあり、樹上までかけるには重いです。
そこでスローラインを一度樹幹に通して、メインロープと入れ替えてから登ります。
作業手順としてはスローウェイト(重し)にスローラインを付けて樹幹の部分まで投げます。
投げるときは振り子運動を利用して投げます。
このとき、いかにリラックスして通したい場所に投げるかがポイントですが、僕は現場で思い通りの場所に通らず何回もやり直しました。
スローラインで使用する糸は直径2mmほどで細いですが200kg程度まで耐えることができるようになっています。(スローラインの太さによって耐久荷重は異なるので使用する際は耐久荷重を調べてから使用してください)
狙った場所(強度のある樹幹のまたの部分)に通ればウェイトを外しメインロープに付け替えて引っ張ります。
そうすることでメインロープが樹上に通り、安全に登攀(とうはん)することができます。
スローラインは頑丈ですが細く掴みにくいため引っ張る際はカラビナなどに巻きつけるとより引きやすいです。
スローラインを投げる時の注意点
「入社前の場僕はスローラインでどの樹木も登れる(ロープを通せるもの)」だと思っていました。
しかし、スローラインを投げる方向に民家などの建造物がある場所では使用できません。
投げる方向や樹幹に通った後のウェイトの落下地点に物や人がいたら怪我を負うリスクが伴います。
そのため、スローラインを使用する際は伐採対象木周辺の状況を確認し、投げる軌道をイメージする必要があります。
投げても届かない高さにかけたい時はビッグショットがオススメ
また、樹木の高さによっては投げても届かないこともあります。
そんな時にはビックショットを使ってスローウェイトを飛ばします。
ビックショットのイメージは巨大なパチンコです。
ゴムの力で樹高の高い樹木でもスローラインをかけることができます。
樹高の高い樹木にもかけられるビッグショットですが狙いがブレるので、かなり練習が必要です。
最後に
今回は特殊伐採とスローラインについて書きました。
スローライン以外にも樹上に登る方法はいくつもありアーボプラスは場所や周囲の状況など様々なことを考慮して伐採を行っています。
どの伐採方法が一番依頼主の負担が少なく、希望通りの依頼内容を行えるかを考え提案・伐採しています。
樹上から伐採していく場合、伐採した樹木は無駄にならないよう活用方法を提案させていただきます。
危険木・支障木は時間が経つほど費用も危険度も増していくのでできる限り早い決断が必要になります。
依頼の中には伐採しているか悩んでいるうちに樹木が枯れて登れなくなってしまい重機が必要になった現場もあります。
弊社ではどんな樹木でも高い技術力で安全に伐採を行いますので、ぜひご依頼ください。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。