こんにちはナカイです。
晴れた日の休日に登山や散歩で自然に触れるとスッキリしますよね。
これからますます暖かくなり植物も新芽や花を咲かせ森林はカラフルになります。
この前祖父母の家に行った時、近所の裏山一面に淡い紫色の花が咲いているのを見つけました。
たまたま近所の方が通りかかって「やっぱ綺麗だわ」と言って祖母と話していましたが
森林を手入れする仕事をしている僕からすると手入れされていない森林を見ると悲しくなります。
この花の正体はフジです。フジは林業従事者や森林所有者にとっては嫌な植物なんですよ。
世間一般に花が綺麗と言っても我々にとっては困り物・・・
今回は林業的森林のお尋ね者について話していこうと思います。
世間一般と共通している森林の危険(生物)をまとめたのはこちらから
→森林内で活動するときは気をつけて、森に潜む様々な危険の紹介と対策方法
林業的なお尋ね者の代表はフジ、イバラ、ウルシです。
フジ
鬼滅の刃に出てくるフジなんかは幻想的で綺麗ですよね。
フジの名所は関西では兵庫県丹波市にある白毫寺には全長120mを超える藤棚が5月になると圧巻です。
関東では栃木県のあしかがフラワーパークには樹齢150年を超えるものなど350本以上のフジがあり、
夜のライトアップはデートの候補地の1つにして間違いなし。最近では鬼滅の刃のモデルにもなっているのではと言われています。
綺麗だとか、名所とかいい情報ばかりで何が困るんだよ」なんて声が聞こえてきそうです。
フジ(藤、ノダフジ)はマメ科フジ属のつる性落葉木本で日本固有種なんです。
意外にもフジで困っている林業者は日本だけみたいです。
フジはマメ科のつる性落葉木本なので立木によく巻き付きます。
「巻きつくだけ?」と思うかもしれません。
確かに巻きつくだけで木が成長したらちぎれてしまう細いツタならいいですがフジは太くなってちぎれません。
名所になっている場所のフジを見ればわかりやすいのですが、太くなると直径が15cm以上になります。
フジが成長していくと立木に沿って上に巻きついていきます。立木に巻きついたフジは2つの理由で林業従事者を困らせます。
1つ目は巻きついたフジが立木を圧迫し歪な形にしてしまいます。
木が成長のために送る養分があ圧迫されているところで溜まることでできます。
このような木は伐採後搬出してもまっすぐな板が取れにくいため国産材の価値を落としてしまいます。
山で商品を生産する山林所有者にとってはかなりの痛手です。
2つ目は作業を行う林業従事者への危険が高まることです。
周りに木がなければ1本に巻きつくだけですが、森林は周りの木の枝が触れ合っているため他の木に巻きついていきます。
そのため、伐採しようにも横の木に巻きついたフジが木を固定、もしくは振れるため狙った通りの方向に倒れてくれません。
それどころか、掛かり木になってしまったり、自分の方向に倒れてくる可能性もあります。
多くの場合はフジを根本や届く範囲で伐り枯れるのを待ちます。
どうですか?フジって中々困った植物でしょ
フジが困らせるならイバラは痛い思いをさせる植物です。
イバラ
森林に生息するイバラで僕たちを困らせるのはジャケツイバラとサルトリイバラの2種類です。
ジャケツイバラ
ジャケツイバラはマメ科のツル性落葉低木で若年時は茎に毛が生えているが成長とともに無毛になり茎と葉軸にある棘が硬くなっていく。
日本では九州、四国、本州(東北地域の大部分を除く)に分布しており、伐採跡地や川岸などの日当たりの良い林縁に自生。
4〜6月に黄色い花を咲かせます。
日干しで乾燥させた種子は雲実という漢方になり、下痢止めやマラリアの解熱効果がある。
ジャケツイバラの棘はフック状になっているため引っかかりやすく抜けにくいのが特徴です。
作業着だとトゲに引っかかって転倒したり糸がほつれ、
体制を崩して咄嗟に掴まったのがジャケツイバラだった時には掴んだ手はズタズタになります。
また、ジャケツイバラは匂いも臭いので気分はダダ下がりです。
僕も過去に作業中転倒してジャケツイバラのまとまりに左手を突っ込んでしまい痛い目に遭いました。
長袖でなければもっと怪我をしていました。
サルトリイバラ
サルトリイバラはユリ科のツル性落葉半低木(多年生植物)で水捌け、日当たりが良い林内に自生します。
根本は太くしっかりしているが、若い茎は多数に分かれ伸び成長すると茎通しが絡まり藪を形成します
茎には棘があり名前の由来「猿も絡まったら動けなくなってしまう」にも象徴されています。
古くから秋頃に採取した根を日干しで乾燥させせることで漢方では膀胱炎や腫れ物の治療薬として使われ、
解毒作用や皮膚病にも効果があります。
ウルシ科
森林内に多く自生するウルシ科は人によってはかぶれてしまいます。
気づかないうちに触れてしまい家に帰る頃には「痒い」なんて経験をいた人を見たこともあります。
日本で代表的なのはウルシ、ヌルデ、ハゼの3種類です。
ウルシ
ウルシはウルシ科の落葉高木で森林でも自生しています。森林で見つかる漆の多くはヤマウルシという種類でハゼと似ています。
日本全土に分布しており漆器を塗るのに使います。
ハゼやヌルデよりウルシオールを多く含んでいるためより強く反応が出ます。
ひどい時には水膨れになったりもします。
ハゼ(ハゼノキ)
ハゼもまたウルシ科の落葉高木で関東南部から西に分布しており、日当たりがよく暖かい所に自生します。
枝や葉に触れても被れにくいが、白い樹液は被れやすいため注意が必要です。
果実が木蝋の原料となるため江戸時代には栽培が行われました。
近年では、食材に光沢を付けるために使われている例もあります。
また、ハゼの芯材は黄色く天皇陛下が儀式の際に着用される黄櫨染御袍の色素材料にもなっています。
ヌルデ
ヌルデはウルシ科の落葉高木で日本全域に分布しており伐採後の森林などに真っ先に生えてくる(パイオニア)植物の1つです。
ウルシほど強くはないですが被れる人は被れます。
名前の由来は「ヌルデを塗るで」という意味です、、、
つまらないダジャレではなくヌルデの樹液を塗料として使ってたことからきたと言われています。
また、果実は咳や下痢止めの薬として使われました。
ヌルデの樹液はかぶれやすく気づかないうちに樹液を触ってしまったら痒くて作業どころではありません。
最後に
いかがでしたでしょうか?
林業従事者目線での森林で困る植物のフジ、イバラ、ウルシ科について書いてみました。
誰でも苦手な植物があるのも林業あるあるの1つではないかなと僕は考えていています。
ちなみにアーボプラスの代表は形と茎の質感でマムシグサが苦手らしいです。
この記事を読んで自分の所有林が気になる方は是非見に行ってみてください。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。