皆さんこんにちは!
初めまして、ナカヤマです。
今回からナカイくんと協力してプラスニュースを書いていきます。
少し前ですが、秋になると京都では紅葉が見ごろを迎えています。
あまりの美しさに、ついつい木を見上げながら歩いてしまいます。
赤やオレンジ、黄色に彩られた葉が落ちると、いよいよ冬の到来。葉を落とした冬木立にとまる小鳥たちの姿に出会うのも、これからの季節の楽しみの一つです。
では、どうして落葉樹はわざわざ葉を落とすのでしょうか?
その一方、木を伐るのは冬がいい、という話も聞きます。
これは何やら関連がありそうてすね!
木の生活サイクルと落葉
成長段階にもよりますが、多くの樹木は1年を決まったサイクルで過ごしています。
春になると冬芽から新しい葉を芽吹かせます。
そしてその新しい葉で春から初秋の間、目いっぱい光合成をして栄養(デンプン)を作り、自らも生長しつつ花を咲かせたり実をつけたりして次世代の子孫を生み、そして冬になる前に葉を落とし、光合成をやめて成長を止めます。
基本的には常緑樹も冬の間あまり生長はしません。
つまり、冬の間は樹木にとってはお休みの期間であり、落葉樹が葉を落とすのは冬越しのための準備の一つなわけです。そして、この冬越しのための準備は木を伐採する時期にも大きく関わっています。
では、まずは葉を落とす理由から。
葉を落とす理由
突然ですが、小学校の理科で習うと思いますが、植物が光合成をして栄養を作り出すには、何が必要でしょうか?
まずは日光。そして水、葉緑素、二酸化炭素ですね。
水は主に土から根っこを使って吸い上げます。日光は言うまでもなく、日中のお日様の光。
そして葉緑素は(樹木の場合)葉に含まれ、おもに葉裏にある気孔を使って空気中の二酸化炭素を取り込みます。
光合成に欠かせない日光は冬より夏のほうが長く浴びられるため、(1日で最大5時間ほどの差が!)光合成をするのに冬はあまり向いていません。
葉を維持するにもエネルギーを消費するため、落葉樹にとって、冬は落葉しないとエネルギーの採算が合わなくなってしまうのです。
さらには、積雪の多い地域では、葉があると木に雪が積もる面積が増え、かなりの重量が木にのしかかります。
そうなると雪の重みで枝が折れたり、幹が曲がったり、と木にとって大きな負担がかかることに。(林業の仕事の一つに、雪の重みで曲がった幼木を縄などで固定してまっすぐになおす「雪起こし」という作業があります。)
なので、春から初秋の間にせっせと栄養分を作って蓄えて、冬を無事越せるように葉を落として備えるのです。
では、もう一つ重要な冬越しの準備とは何でしょうか?
それは水分量。葉を落とし休眠状態になると、光合成をして栄養を作る必要がなくなり、なおかつ葉からの蒸散による水分の放出もなくなるので、冬場はほとんど水を必要としません。そのため、日照時間が短くなってくると木はだんだんと吸い上げる水の量を減らしていきます。
実はこれが林業家に「伐り旬は冬」と言われる理由です。
冬に木を伐る理由
木材を湿気の多い所に置いたり、濡らしたままにしておくとどうなるでしょうか?
木材はカビたり、腐ったりしてしまいます。
木材加工の過程の中で重要なもののひとつに「乾燥」があります。
ですが、日本は基本的に湿気の多い地域のため木の乾燥にも時間と技術が必要です。
ましてや、伐った木が成長する気満々で水をたくさん含んでいたら、当然乾燥にはさらに時間がかかることになります。
木材にするための乾燥過程でかびてしまったら元も子もありません。
また、水分量が少ない=樹皮が剥がれにくいため、伐倒した際に樹皮がめくれて木材価値が下がるリスクが減ります。
主伐、間伐というような、材や薪などの燃料をとるための伐採作業は木の水分量が減る冬に行ったほうが、材の品質も保ちやすく、運搬時にも軽くなるため効率がいいというわけですね。
昔は農閑期である冬の間に山仕事をして、薪などの燃料を確保した、というのはとても理にかなっています。
ですので、農作物や樹木の生活サイクルの人は支配されていたと言えます。
最後に
最後におまけ話をひとつ。
国文学者の中西進先生が「死ぬ」と植物がしおれる「萎ゆ(しなゆ)」(古語)を仲間の言葉だと書かれています。
どちらも水分が失われていくことを生命活動の終わりだと考えたのでは?と。
反対に日本語で最高の誉め言葉は「うるわしい」。
うるおいがあって生命観にあふれていることが最高の美であり、みずみずしい自然とともにある日本の風土性によって、日本の言葉は育まれてきたのだとか。
木の生活サイクルを知るとまさに!納得ですね。
冬は活動を終えて、葉の命も終えて、水を減らし、春になると、一気に水を吸い上げて新しい葉を芽吹かせる…。(人の場合、お肌の水分が減っていくのは切ないものがありますが…(笑))
日本人には自然界の営みとともに生きてきたからこその感性や文化、暮らしがあり、知恵や技術があります。
そんな自然とともにはぐくまれてきた人々の暮らしの在り方を、もっとこれからの暮らしの中にも生かすことができたら、それはとても素敵なことではないでしょうか?
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。