日本は国土の7割が森林です。
先進国内での森林率は世界3位です。
これは何年間も継続しています。
このように森林面積に変化がないと、「切っていないのでは」と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
日本では古くから伐採が行われており、現在では年間約88,050haほど伐採・搬出しています。
このように毎年伐採しているのにも関わらずなぜ森林面積は減らないのでしょうか?
その答えが植林です。
今回は古くから日本の山が無くならないように行われいた植林について紹介します。
何故植えるの?
以前植林施業を行った話をしていると家族に「なんで植えているの?」と聞かれたことがあります。
日本は気温や降水量といった植物が生育するには恵まれた環境です。
伐採後の森林を放置しても植物が生えます。
何十年何百年も待てば以前のような森林になるかもしれません。
しかし、その間に豪雨や地震が来たらどうでしょう。
雨を防ぐものがない山の斜面は土砂災害が発生しやすいです。
植林することで山を裸地化させないことが大切です。
さらに、手入れをされた森林は土砂災害防止/土壌保全機能などの多面的機能があります。
また、仮に斜面が崩れず植林をせずに森林に戻ったとしても経済的に価値のある森林になるとは限りません。
植林を行い手入れ管理することで伐採を行なった量と同じ材積を得ることができます。
林業は世代を超え、未来に繋げていく職業です。
戦後の日本の多くがハゲ山でした。
当時の方が植林を行い育てたことで今、私たちは国産材を使えています。
つまり植林は子供たちが使うことのできる材を残す第1歩です。
植林は私たちが使う材や生活の安全と材を後世に残すための大事な作業です。
しかし、木材価格の低下などによって山主はあまりお金が儲からないと言うこともあり、
近年森林所有者で植林を積極的にしたがる方は少ないように思います。
少し林業のことを知っている方なら
「植林はすごくお金がかかるし助金だよりじゃん」と思われている方もいると思います。
悲しいことに現在行われている植林の多くが補助金によって行えている状況です、、、
植林の現状
現在、日本の人工林1029万haの51パーセントが伐採適齢期を迎えていると考えられています。
伐採適齢期を迎えた森林に合わせて主伐、択伐のどちらかを行います。
農業(トマト)で例えると収穫時期になったから畑の全てのトマトを収穫するのが主伐で、サイズや色などお客さんが求めている条件で選んで収穫をするのが択伐です。
伐採を行って得た収益でもう一度造林するのが流れですが、材の売り上げより植林して適齢期になるまでのコストの方が多く掛かってしいます。
そのため、国が森林整備事業に対する補助を活用して再造林を行っているのです。
植林のタイミング
植林の多くは春先に行われます。
冬は寒さや雪、日照時間など苗を植えるには条件が悪く、
立木は春から秋頃まで水を吸い上げるためです。
植林する苗はより成長が早い樹種を苗場で3〜5年育てられた裸苗やポット苗を使います。
ポット苗は一年中植えることが可能です
植林施業の流れ
ここからは、実際に行われている植林についてお話ししていきます。
主伐、択伐施業が終わった現場に植林をするためまず始めに地拵えを行います。
施業後の現場は枝葉や切り株が多く残されているためそのままでは植樹できません。
そこで、枝葉や切り株の整理を行い植樹できるようにします。
地拵えが完了すると植樹の始まりです。
植樹する樹種は主にスギ・ヒノキですが山主さんの意向があれば尊重します。
植樹するスギ・ヒノキは苗場で3~5年育てられた苗木を使用し、
1ヘクタールにつき1000〜10000本を植林します。(地域によって差があります)
一般的に約3000〜4000本を植林します。
かなり密に植えると思いませんか?
これは、苗木に競走させることでより良い材(成長が早く真っ直ぐな材)にするためです。
苗を植樹場所まで持って行き、リュックの様な苗袋などに分けて入れ、一本一本手作業で植樹していきます。
植林地は斜面であるため足場が不安定なところもおおく足元に注意しながらの作業です。
僕が学生の頃手伝いで行った時は一日作業をして50本程度しか植樹できませんでした。
何年も植林を行っている方だと一日で200本程植樹してしまいます。
最近では植樹の施業場付近までドローンで苗を運んでいる会社もあります。
苗木を植樹したら終わりではありません。
植樹してから5~10年程は苗木が周りの雑草に負けて成長せず枯れてしまう恐れがある為夏場などに年2~3回ほど下刈りを行います。
この下刈り作業はとてもしんどい作業です。
しかしこの下刈り等の手入れを行うことで苗木が成長し後世のための材となるわけです。
最後に
いかがだったでしょうか?
植林の必要性と植林の流れについてお話させていただきました。
近年は「山を持っていてもお金にならない、無駄で持っているだけ損」なんて言葉も耳にしますが、自分の植えた木が大きくなり子供、孫の代で使われていくことを考えると無駄ではないと思います。
現在自分たちが使っている材も先人たちが植林、手入れを行ってくれたからこそ使うことが出来ています。
アーボプラスは先人たちの想いを受け止めて、次の世代にも豊かな森林が渡せるような林業を行なっていきたいと考えています。
皆さんもぜひ植林に参加してみて下さい。(京都では京都モデルフォレスト協会が体験を行っています)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。