こんにちは、ナカイです。
日本は国土の7割が森林で先進国の中でも上位の森林率です。
また、温暖な気候のため様々な植生が分布しています。
このように森林資源が豊富な日本は古くから生活に木材を取り入れていました。
民家、神社仏閣などの建造物、船、生活用品など樹種・特性によって使い分けていました。
今回は樹木の特性の1つ、重さに注目して紹介していきます。
木の重さって?
木材の重さは気乾比重と全乾比重の2種類で表され、製材などでは主に気乾比重が用いられます。
気乾比重(自然乾燥)とは1㎤の水を1gとした時の比重と乾燥した(含水率15%以下)木材1㎤(含水率15%)の比重を比較した値です。
気乾比重が1より高い値の木材は水より重いため沈み、軽ければ浮かびます。
多くの樹種は水よりも軽く浮かびます。
全乾比重とは含水率を限りなく0%にした木材で、木材の細胞壁の中の水分まで抜いた状態を言います。
全乾比重は主に学術的に使用されます。
ちなみに伐採直後の樹木は含水率100〜120%ほどある為、6倍上重さが異なります。
特に樹木が成長のために多く水を吸い上げる夏は特に重く、搬出するトラックが伐採場所から遠いと人力搬出の際にメチャクチャ大変です。
ここまでは樹木の重さについてきました。
ここからは世界や日本の重い樹木について紹介します。
世界一重い樹木
世界一重いと言われている木材はリグナムバイタで気乾比重は1.28です。
リグナムバイタはハマビシ科ユソウボク属の広葉樹から取れる木材の総称のことでフロリダ南部や西インド諸島に天然分布しています。(世界ではユソウボク・バハマユソウボク・グアカンウッドなど3種の木材がリグナムバイタとして輸出されています)
市場に流通する木材では最も硬く重い木材だと言われており乾燥させた材は金属加工用の機械を使って切削します。
また耐久性も高くシロアリなどの害虫や腐敗にも強い、100℃以上で熱すると材から油分が出てくる自己潤滑生があるため船用プロペラの軸やベアリング等の海洋性部品に使われていました。
チップや木屑をアルコールや熱湯で抽出した樹脂は古くは梅毒の特効薬として利用されいたそうです。
成長が遅いため大木になることがないため市場に出回る量がほとんどありません。
1994年には絶滅危惧種扱いにまでなった樹木です。
日本一重い樹種
日本1重い樹種は4種類あります。
「日本一なのに4つ?」と思うかもしれませんが気乾比重は樹木の個体によってわずかに数値がズレるため4種類あります。
その4種類とはイスノキ・ウバメガシ・オノオレガンマ・ヤエヤマコクタンです。
イスノキ
イスノキはマンサク科の常緑広葉樹で温暖な地域に自生します。
成長すると高さ20m以上にもなる樹木で日本で最も硬いと言われている樹木の1つです。
気乾比重は0.75〜1.02と言われています。
関東や四国に広く分布しており古くから家具・杖や木刀(示現流系統の剣術)、楽器など幅広く利用されてきました。
また材や樹皮を燃焼させて出来た灰は陶磁器の釉薬との融剤として利用されています。
ヤエヤマコクタン
ヤエヤマコクタンはカキノキ科の常緑高木で奄美大島〜沖縄にかけて分布しています。
樹高は5〜10mほどに成長し、葉が倒卵形・倒卵状楕円形で革質です。
気乾比重は0.74〜1.21と個体差があります。
芯材は三線などの楽器等に加工され、高級材として利用されていました。
しかし、成長が遅いため伐採によって資源が枯渇し始め2012年には環境省のレッドブックに登録されました。
オレオノカンバ
オレオノカンバとはカバノキ科の落葉高木で北海道・本州に分布しています。
標高500m以上の森林に生息し成長が遅く1年間に0.1〜0.2mmほどしか成長しないため材の密度が高いです。
オレオノカンバとは『斧が折れるほど硬い樺の木』という意味から命名されました。
気乾比重は0.85〜0.99とされており古くは馬ソリなどに使用されていましたが近年は印鑑や木魚、家具等に使用されています。
ウバメガシ
ウバメガシはブナ科の常緑広葉樹の1種で樹高が5〜6mほど、高い樹木だと15mほどまで成長します。
暖かい地方に分布し、潮風・乾燥に強く海岸林を構成する樹種として代表的です。
気乾比重は0.96〜1.3です。
備長炭の材料としても有名で良質な炭になります。
病気に強く剪定を行っても成長することから庭木や生垣・盆栽としても利用されました。
木材は重い=硬い
木材の重さ=硬さと書いたのは、重い木材は密度が高く木目が詰まっています。
木材の硬さもまた木材の密度によって決まるので結果的に重い木材=硬い木材になります。
なので硬い木材は重いですし、柔らかい木材は軽いと考えてください。
ちなみに南米に分布している世界一軽いバルサという木材はカッターで切れる程柔らかいです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は世界一重い樹木と日本一重い樹木について書きました。
僕は学生時代に1度リグナムバイタの10cm角材を持ったことがありますが、2kgの鉄アレイを持っている感覚でした。
「材自体も固く、この世にはいろいろな樹木があるんだなと」驚いたのを覚えています。
現代では建築はスギ・ヒノキ、外材が多く使われていますが、古くは様々な樹種が生活で利用されていました。
樹種によって特徴があるので興味のある方は是非様々な樹種の木工品を使ってみてください。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。