こんにちは、ナカイです。
先人が植えた苗が成長し日本の保有材積量は年々増加しています。
特にスギ・ヒノキの40年生以上は建築用材など様々な用途で使います。
先人が植え大切に管理された森林は財産です。
日本の森林には必ず所有者がいるので子供の頃何気なく入って遊んでいた山も誰かの持ち山です。
日本でも古くから盗伐は行われていました。
全国でも毎年違法伐採の被害は出ており、発覚しているだけでも50件以上になります。
近年では森林の所有者が遠くに住んでいるケースが多く違法伐採を行われても発覚が遅れたり気づかないケースがあります。
近年、世界各国(特に熱帯雨林)・日本で違法伐採が問題になっています。
今回は違法伐採について現状と対策を紹介します。
違法伐採
違法伐採とは
違法伐採とはそれぞれの国の法令に反した伐採を指します。
なんと全世界の森林伐採の15〜30%が違法伐採と言われ森林で伐採され消費者にわたるまでの間に法令違反が行われた場合、その木材は違法伐採とされます。
例えば国立公園や保護地域内では希少樹種や伐採禁止エリアでの伐採、伐採範囲に隣接する保護区の伐採が行われています。
生産林(人工林)では無許可の伐採や許可証を偽造して行う伐採、許可された施業範囲を超えて伐採、過剰伐採などがあります。
2つに当てはまらない森林は伐採範囲に隣接する保護区の伐採や先住民族の土地権内を伐採してしまいます。
製材では操業許可証の偽造、許可量を超えた木材の取り扱い、輸出では輸出許可証の偽造、密輸などの違反が行われています。
上記に書いたことは全て違法伐採です。
違法伐採は世界各国で大きな課題・環境問題とされ、発展途上国だけでなくアメリカやヨーロッパなど先進国でも問題になっています。
違法伐採による問題
日本では古くから伐採したら植林を行うことが当たり前だったので、過剰な伐採による森林の砂漠化や生態系の破壊などイメージがわかないかもしれませんが、森林の再生を考えない伐採が世界中で行われています。
特に南アフリカやインドネシアでは大規模な伐採が行われ森林が再生できず砂漠化している地域もあります。
↓森林の砂漠化についてはこちらの記事を読んでください
地球から森林は減っていく?世界各地で問題となっている森林の砂漠化について
違法伐採は国や地域事業体の木材収入や税収を損失させ森林を劣化させます。
また、過度な伐採を行えば森林の再生が間に合わず森林の減少、生態系の破壊、地球温暖化の促進など様々な問題が発生し中にはテロ組織への資金供給にもなっています。
違法伐採された木材が国際市場に安く流出されるため持続可能な森林経営を行って必要なコストがかかっている林業事業体は取引が行えなくなってしまいます。
日本
近年国産材の中国やフィリピン等に向けた輸出料が増えています。
輸出先の多くは経済成長によって物流が増えたため梱包材が必要なためB材C材と言われる合板・原木が多く取引されます。
日本でも違法伐採が行われ海外や市場に搬出されます。
2019年には78件の無断伐採に関わる相談が市町村の方にありました。
78県の内訳が6件は故意の違法伐採、51件は境界の不明確等の認識の違い、その他21件です。
特に九州地方が多く全体の65%を占め、その中でも宮崎県は大きな被害を受けています。
宮崎県はスギの生産等が全国で一番多く、全国平均に比べスギ中丸太が高値で取引されています。
これまでに無断伐採や許可証偽造による伐採が行われ、違法伐採被害の数は103家族にまで登るそうです。
しかし、日本はこれでも被害が少ない方です。
世界
世界の各地で違法伐採は行われています。
その中でも多くの被害が出ているのが東南アジア・ロシア・アフリカの国であり今回は東南アジアのインドネシアとマレーシアを紹介します。
インドネシア
インドネシアでは違法伐採被害が多く政府が定めた持続可能木材年間伐採量の3倍(約7000万m3)が搬出され、その内52〜70%に当たる2500〜5700万m3が違法伐採と言われています。
これは、合法的伐採より違法伐採の方が生産量が多いという状況です。
そのため、木材に課している税金を全て集めることができていないため5年間で数十億米ドルの損失が起き、インドネシア内の30もの州が1990年代には森林の半分が減少してしまっています。
違法伐採は大きく2つに分けられ、1つは森林を伐採しアブラヤシのプランテーションへの転用でもう1つが盗伐です。
前者は生物生態系を破壊してしまう伐採で土地の貴重な固有種などが減少してしまいます。
後者は伐採許可地域での過剰伐採や伐採許可の切れた地域での無断伐採が商業目的で行われます。
伐採された木材は地元の木材商人が海外の密輸シンジケートと手を組み海外に密輸しそこから国際市場に出回っていると言われています。
マレーシア
マレーシアでは違法な森林伐採によって森林破壊、先住民を無視した伐採が行われ、熱帯雨林で生活している先住民族の生活様式に大きな影響を与えています。
特に先住民を無視した伐採は人権侵害として特に問題になりました。
マレーシアのサラワク州では大手企業が新規ライセンス(伐採許可証)をどんどん発行し先住民の生活の基盤である森林をどんどん伐採し森林を裸地にしていました。
このような森林の再生や先住民の生活を考えない違法伐採は森林・生態系破壊と人権侵害以外にもざまざまな問題を抱えています。
実はこのサラワク州で伐採された木材の主要な輸入国が日本です。
サラワク州で伐採された木材を日本に輸出する際に必要なのは州の認定証文書のみのため、州と大手企業が手を結び認定証文書を簡単に発行できるためほとんど審査がないのが現状です。
皆さん普段何気なく使っている木材にも違法に伐採された木が含まれているかもしれません。
最後に
いかがでしたでしょうか?
世界や日本の違法伐採について紹介しました。
日本や世界各国で行われている違法伐採は様々な問題を起こします。
違法伐採は土地の森林を破壊し生態系を崩してしまうので貴重な樹種や動植物が減少や絶滅してしまう危険性があります。
また、森林は大気中の二酸化炭素を吸収し地球温暖化を抑制する働きもあるため違法伐採によって森林が減少すると地球温暖化が進行してしまいます。
森林がなくなると土地はどんどん荒廃していき人々が住めなくなってしまいます。
人間は自然と共生することで豊かに生きていけると僕は思うので持続可能な森林計画は必要だと考えます。
皆さんも木材を使う時にどこの木材か調べてみてください。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。