鹿の食害は防鹿柵で防げ、防鹿柵の種類、メリット・デメリットを紹介

 

 

8月に入り野菜がどんどん美味しい季節になってきましたね。

この時期はピーマン、なす、キュウリなどの野菜や生姜やミョウガなどの薬味になる野菜が旬を迎えて暑い日にそうめんを食べるのが楽しみになってきますよね。

我が家でも野菜を育てているので仕事帰りに畑に寄って取るのが楽しみの1つです。

しかし、「野菜が旬を迎えてそろそろ収穫だな」と思って次の日に行くと食べられていて、足跡を見ると鹿が入った形跡が・・・「おのれ鹿め💢」となることがあります。

今回は鹿と防鹿柵(ぼうろくさく)について紹介していこうと思います。

他の獣害についても記事を書いているので良ければこちらも→獣害とは?森林経営者にとっての天敵シカ・クマ・ネズミについて

鹿被害

全国の鹿による食害は深刻な問題であり農作物だけでなく森林にも大きな影響を与えています。

1年間で農作物の被害は51.2ha(平成26年度〜27年度)にも及び、森林被害は3500ha(令和元年度)にも及びます。

「森林も?」と思った方もいると思います。

実は鹿って木の皮をめくって形成層を食べてしまいます。

鹿がかじったところから菌が侵入し木が病気になります。

すると材としての価値が落ちてしまうんです。木造生産をしている森林所有者さんにとっては大問題です。

自分の先祖が植えてくれたもしくは、後世に残したいと思い自分で植えた幼木が食べられないように防鹿柵で囲うと思います。

防鹿柵(ぼうろくさく)

防鹿柵と言ってもさまざまな種類があります。

例えば、田んぼの周りを囲っている電気柵なんかもその1つです。

多くの森林で使われていますが、伐採現場の近くに防鹿柵があると当てずに伐採しなければいけないため手間が増えます。

ここから3つの山林向け防鹿柵のメリット・デメリットを紹介していきます。

金網型

金網型は森林内に設置する防鹿柵の王道の1つです。

メリット

金網柵は耐久年数が高く亜鉛メッキが剥がれるまでの耐用年数は15年程です。

ロール上に巻けるため運搬性に優れており森林内に持ち運べます。

支柱を立てることで安定し、衝撃にも強いです。

デメリット

鹿は高さ2mも垂直跳びで飛び越せるため上下2段に張らなければならずかなり大変である。

1ロール(20〜25m)での設置なので破損した場合は1ロール全てを張り替えなければなりません。

そのため出入り口を作るのが簡単にはできません。

僕自身も金網柵は設置した経験があるのですが防鹿柵頑丈な分作業が大変で、支柱を1本立てるのに2人(支柱を支える人と打ち込む人)必要になります。

一般的なハンマーで叩くのではなく支柱専用ハンマーを使って自分より身長の高い杭を地面に入れていきます。

ネット型

田舎にお住まいの方ならネット型の防鹿柵を設置した方いると思います。

メリット

ロール状に巻いて持ち運びができるため運搬性にすぐれており、金網に比べて軽量です。

地面が凹凸でも曲がるためあまり地形に左右されません。

デメリット

ネットのため強度にかけます。

飛び越えようとした鹿が絡まりその場で死んでしまうことで、他の鹿が侵入してしまいます。

設置してすぐにたわんでしまうことがあります。

ワイヤメッシュ

メリット

パネルごとに小分けできるため運搬しやすくでいる入り口の設置は簡単にできます。

スカーネット(上部のねずみ返しみたいになっています)によって鹿が飛び越えるのを防ぎます。

メッキ加工がされている柵は耐用年数が15年程です。

デメリット

支柱の打ち込みに労力が必要で、パネル以上に支柱を広げることができないため地形の凹凸に合わせにくいです。

山以外での

電気柵

CREATOR: gd-jpeg v1.0 (using IJG JPEG v62), quality = 100

多くの田畑の周りに設置されてているのを見ます。

電気柵は鹿や猪などにショックを与えて追い払う柵で、支柱と電線の入ったロープの設置も比較的簡単に行えます。

電線の入ったロープに触れることでショックを与える一方で雑草などが触れていると漏電しショックの威力が弱まり効かない場合があります。

そのため定期的に周囲の草刈りが必要なため管理が大変です。

忌避装置 超音波 

忌避装置は鹿の嫌がる音(超音波)を出すことで鹿が近づきにくくしたり、センサーを着け近づいたらライトがつくようにする装置もあります。

しかし、超音波では完全に鹿の侵入を防げないのと都市部だと近隣住民のことを考えるとあまり大きな音が出せません。

最後に

いかがでしたでしょうか?

防鹿柵について書きました。

防鹿柵が鹿に突破される原因の多くは風倒木が柵に倒れて潰されたり、雪が柵の上に乗って支柱が沈み柵が低くなったりします。

風倒木が倒れてもいいようにバッファゾーン(木から20m離して柵を設置する)を設けるとツルが絡んで重みで柵が倒れてしまうといった問題点もあります。

植林したばかりの苗や成長した木の皮等、鹿の食害は今でも問題です。

鹿の食害がひどい森林内の小さな範囲を防鹿柵で囲うことで、本来の植生(埋没種子から発芽)が生えてくるといった研究結果もあり防鹿柵は地域の植生保護の観点からも重要だといえます。

しかし、設置には多くの人件費と資材費がかかり林業経営を圧迫している原因の1つです。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。