こんにちは、ナカイです。
コロナウイルスの影響で木材価格の高騰(ウッドショック)が起きました。
コロナウイルスの影響で起こったウッドショックの原因と日本の木材供給の脆弱さの根本とは
ウッドショックで木材価格が高騰しているのに木材が市場に出てこない理由
詳しくは上記で紹介していますが、在宅作業によるネット注文の増加・海上輸送の停滞・アメリカと中国の木材需要の増加によって日本に外材が輸入されなくなり国産材の需要が高まりました。
国産材の需要が高まった一方で、市場に出てくる木材の量が限られているため自然と価格が高騰しました。
日本でも木材不足によって住宅の着工期間が伸びたり、木材価格の高騰によって費用が増えるといったことが起きました。
「新しい家が中々完成せず困った」とニュースでおっしゃっている方もいました。
今回は日本の木造住宅事情を紹介します。
日本は既存住宅市場が小さい
国土交通省が発表しているデータによると、日本は既存住宅流通シェアは国際的に見るとかなり低いです。
アメリカ・イギリス・フランス・日本の4カ国で2014年の住宅着工(新築)・取引(既存住宅)戸数を比較するとアメリカ・イギリスの2カ国は既存住宅取引が全体の83.1・87%を占めます。
フランスも2カ国ほどは行かなくても68.4%と既存住宅取引は新築着工数を上回ります。
しかし、日本は14.7%程しか占めておらず多くは新築住宅が作られており、既存住宅市場が小さいため住宅リフォームの市場規模も小さくイギリスの半分ほどです。
新築住宅が好きな日本人
何故、日本は他の国に比べて既存住宅市場が小さく、新築市場が大きいのでしょうか?
国土交通省が公表している『令和2年度住宅市場動向調査』では新築住宅を購入した方の既存住宅を購入しなかった理由の60%以上が「新築の方が気持ちがいいから」と回答しています。
「新築の方が気持ちがいいから」以外には「リフォーム費用が割高になる・隠れた不具合が不安」といった理由があげられます。
また、日本人は『家を購入=一生住み続ける』といった考え方が主流らしく『新築の方が良い』となります。
上記でも紹介したように日本のように新築着工数が既存住宅よりも多いのは珍しいです。
この新築が主流なのは日本の気候(温暖湿潤)や環境(地震や土砂崩れといった災害)によって家の柱などが腐りや白蟻といった様々な理由で建て替えが必要になります。
そのため先人は木造住宅の構造をネジを使わず、全てをばらし、腐りや取り替えが必要な部分のみを取り替えまた立て直しが可能なようにしました。
一方で国民の80%以上が既存住宅に住んでいるアメリカでは既存住宅を購入・リフォームを行う(業者やDIYなど)文化が根付いています。
また、転職が多く引越しの多いアメリカでは家は買うものであるのと同時に売り物と考えられており、家の状態を良くしていれば同じ価格がそれ以上で売ることができます。
日本の構造物割合
令和2年度の日本の新築建築(住宅・非住宅)に占める木造建築物の割合は47.5%(4720万9000㎡)です。(非住宅とは会社などをさします)
この割合(4720万9000㎡)のうち93%(4423万9000㎡)は1階〜3階までの低層住宅が占めます。
4階以上の住宅で木造建造物は0.3%ほどでほとんどありません。
非住宅の木造建築の割合は1〜2階の建造物が9%ほどで3階以上になると3.2%、4階〜5階で0.2%となり6階以上では0%です。
日本は1〜3階までの低層住宅が木材で占められている一方で4階以上の建造物や非住宅は木造がほとんどありません。
このように日本では高層の木造建造物が少ないですが、近年ヨーロッパを中心に高層木造建造物が建てられています。
高層木造建造物
今ヨーロッパでは中高層木造建築ラッシュで次々と建てられています。
このラッシュは地球環境に配慮し『鉄筋コンクリートから木材へ』という考えが広がっていきました。
高層の木造建造物を可能にしたのはCLT(クロスラミネイティッドティンバー)と言われる直交集成材です。
その強度はコンクリートに匹敵するほど硬く、コンクリートのように型枠作業が必要ありません。
ヨーロッパではこのCLTを使い10階の集合住宅などが建てられており、強度面から1階のみをRC工法で建て、2階より上はCLTで建設されています。
ヨーロッパや北米ではCLTの供給が可能なため鉄筋コンクリートとCLT工法の組み合わせが利用されています。
この工法のメリットは、建築物全体の重量が軽くなり、施行時の排出二酸化炭素も少なく、工期が短縮できます。
工期の短縮においては鉄筋コンクリートで1ヶ月かかる建造物を1日で組み立てた例もあります。
CLTの性能について詳しく知りたい方は是非下の記事も読んでください。
今までの集成材とは違う?CLT(直交集成材)ってどんな機能があるの?
最後に
今回は日本の木造住宅事情について書きました。
日本は世界的に見ても新築市場が大きい国なんです。
新築物件が毎年建てられている一方で、空き家も増えてきています。
総務省が発表した平成30年住宅・土地統計調査では空き家の数は年々増加しており、平成30年は846万戸が空き家です。
新築もプレカットではなく昔ながらの木造住宅にすれば、空き家になった際に崩して使える木材は別の建築で使えば地球環境にも優しいと思います。
イギリスではロンドンに80階の木造ビルの建設をケンブリッジ大学が提案したそうです。
地震などの災害が多い日本でも高層マンションやビル街が木造になる日が遠くないかもしれません。
今の住宅は耐用年数30〜40年ほどで使い切ってしまうため高い木材が使えないのかなと思います。
実際に僕の家は100年以上前の木材(立て替える前の家に使われていた木材)を柱や梁に再利用していますが、割れや折れたりといったことは起きていません。
法隆寺や京都の町中にもある古民家の木材は100年以上経っても全く問題ありません。
僕は30〜40年ほどで潰してしまう家ではなく何十年何百年と使用できる家の方が価値があると思います。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。