チェンソーの切れ味が落ちやすい状態の樹木、林業関係者が内心切りたくない樹木とは?

 

 

こんにちは、ナカイです。

林業に欠かせないチェンソー、ソーチェーン(刃)の減りは使用頻度、目立てなどチェンソーの使用者によって個人差があります。

林業事業体によって色々異なりますがソーチェーンといった消耗品は自己負担の事業体もあります。

ソーチェーン1本の価格は安くても3000〜4000円程するので、できる限りソーチェーンの減りが少ない方が作業員の負担が少なくなります。

ソーチェーンの減りが少ない方がいいですが切れ味が落ちてくれば目立てを行わなければいけません。

林業界の先輩の中には、「ソーチェーンが勿体無いから目立ては〇〇回しかしない」という方もいます。

同じ樹種でも樹木の状態によって切れ味が落ちる速度は異なります。

今回は林業関係者が自分のチェンソーで切りたくない状態の樹木、なぜ切れ味が落ちるのかについて紹介します。

切れ味が落ちる理由

新品や目立てを行ったソーチェーンは伐採を続けると刃が丸くなっていき切れ味が落ちます。

チェンソーは左右交互についた小さな刃を高速回転することで樹木を切削していく道具のため、切削時に刃と樹木に摩擦が生じ刃が丸くなるため切れ味がだんだん落ちていきます。

間伐など1日に100本の立木を伐採する場合、どんなに作業開始時に切れ味が良くても昼頃までには切れ味は落ちてきてしまいます。

摩擦ですら切れ味が落ちてくるのにそこに土や石などの硬いものがあったらどうでしょうか?

簡単に切れ味が落ちていきます。

泥がソーチェーンにつくことで細かい粒子がヤスリのようになり刃の切れ味を落とします。

特に石に当たると切れ味だけでなく刃が欠けてしまいます。

目立てで補えるような欠け方ならいいですが、刃のほとんどが欠けてしまうと新しいソーチェーンに付け替える必要があります。

林業関係者が嫌がる樹木

林業関係者が嫌がる樹木=チェンソーの切れ味が落ちる状態の樹木です。

上記で書きましたが、チェンソーは摩擦によって刃がどんどん丸くなるため切れ味は落ちていきます。

摩擦以上に、泥や砂利、石といった硬いものに接触すると切れ味は一気に落ちます。

切れ味が落ちやすい樹木とは一体どの様な状態なのでしょうか?

泥まみれの樹木

森林内や開発での伐採など伐採を行う前日に雨が降ってしまうと土壌が露出している部分が特にぬかるみます。

伐採や集材のために木材を寄せた際に樹皮に泥がついてしまうことも多々あります。

グラップルなどの高性能林業機械のように林業に特化している機械なら泥をつけずに運べるかもしれませんが、多くはワイヤーで引きずりながら移動します。

森林でも重機のアームが届かない材木は作業道までワイヤー(ウィンチ)で引き上げるのでドロドロになります。

ドロドロの木材を造材すると切れ味はすぐに落ちますし、目立てを行う時間も取らなければならず、作業ペースが遅くなります。

また、猪や熊、鹿といった動物が樹皮に体を擦り付けます。

特に猪はヌタうち(泥浴び)をした後、樹皮に体を擦り付けます。

伐採の際に受け口を作る高さに擦り付けられていることが多いため切れ味が落ちる速度が早いです。

泥を含んでいる樹木

樹木内部に不純物が入っている樹木が森林内にあります。

ありが枯れた立木に巣を作る際に持ち込んだ土や樹木の芯材が枯れ腐りヘドロのようになったものなど様々です。

樹木の中に土があるので切れ味が落ちないように拭ったりする事が出来ず、受け口や追い口を入れた際に切れ味が悪くなってしまいます。

できるだけ砂等を切らないように切る高さは確認しますが、防ぐこともできないので、僕は切れ味が悪くなる前提で伐ります。

針金や釘、有刺鉄線などを含んでいる樹木

市街地や民家に近い森林の場合、樹木内部に針金や釘、有刺鉄線といった金属が入っていることがあります。

これは樹木に巻いた、もしくは付近に置いていた物が樹木の成長とともに巻き込まれていったためです。

林業界の先輩が「チェンソーは金属探知機だ(何故か金属が含まれている部分を切ってしまう)」と言っていました。

樹木が成長し大きいと巻き込まれている金属が外側からは判断することができず伐採を行っている時に気づきます。

泥や砂利同様金属にソーチェーンが接触すると刃が欠けてしまい切れ味が落ちてしまい目立てが必要です。

石を巻き込んでいる根っこ部分

伐採の依頼には抜根まで依頼されることもあります。

抜根する際に切り株のサイズによっては根切りを行います。

樹木の根は樹種によって異なりますが多くは深く広く根を広げていきます。

その際に岩などの硬いものがあるとそれに沿っていきます。

また、根っこも太くなるのでその際に小さな石を巻き込むこともあります。

根切りの際にできる限り泥や石は落としますが、巻き込まれているとわかりません。

切ってみて初めて巻き込んでいることがわかります。

その時にはチェンソーのがボロボロになります。

刃がボロボロになってしまうと切削することができません。

切れ味が落ちないように行う工夫

上記で紹介したような樹木を何もせずに伐採・造材すると、切れ味が落ちでしまいます。

そのため多くの林業関係者が造材前に樹皮の泥を落とします。

泥を落とすことではに切れ味が落ちるのを抑制・軽減させます。

できることなら毎回毎回高圧洗浄機で洗い流したいところですが、そんなことをしていたら仕事が終わらないので妥協します。

樹木を造材する際には他の樹木で隙間を作ります。

これは造材する際に、チェンソーで地面を切らないようにするためです。

特に市街地などでの特殊伐採(クレーンを使う)では吊り上げた木材をおろす場所に材をしいて隙間を作ることでアスファルト・コンクリートにチェンソーが接触しないようにします。

森林で土壌が柔らかい場合、地面を掘ったり、地面ギリギリまで切り込んで材を回して合わせ切りを行います。

最後に

今回は切れ味が落ちる状態の樹木について紹介しました。

チェンソーの切れ味が落ちるのはできる限り避けたいです。

切れ味が落ちるということは、目立てを行わなければならずソーチェーンが減ります。

林業事業体によって様々ですが、ソーチェーンが作業員持ちの事業体もあるため、自分持ちの作業員はできる限り1本のソーチェーンを長く使用します。

目立ては林業経験が浅い人ほど時間もかかり、切れ味もバラバラです。

僕は毎週末に定規で刃の長さを揃えています。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。