植林で使う苗ってどこで作ってるの?苗の種類や育て方について

 

 

こんにちは、ナカイです。

林業の仕事の1つに植林作業があります。

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伐採後に行う植林は後世に森林を残す大切な仕事です。

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植林作業を行う上で欠かせないのが後世に残すために植える苗です。

林業の植林で使う苗はスギ・ヒノキ・マツなどが主です。

ホームセンターでスギの苗木を売っているところを見たことありますか?

多分ないと思います。

実は植林で使われる苗は林業種苗法で生産、流通に制限がされているため一般に出回ることはありません。

「そもそも苗って?」という声が聞こえて来そうなので苗について説明していきます。

林業の現場で使われている苗はポット苗、コンテナ苗、裸苗などの種類があります。

裸苗は古くから林業で使われている苗木で、畑で生産した苗を掘り起こし根についている土を払い落としてから出荷します。

根には毛細根(土の中の養分や水分などを取り込む役割がある重要な根)がついているおり、外気に触れたり日光に当たると弱ってしまいます。

そのため、裸苗の出荷は根が水分の吸収を止める秋から、吸収を始める前の春先までに行います。

ポット苗やコンテナ苗は根に培地がついたまま植えることが可能なため時期を選ばずに植えることが可能です(地面が凍るような地域を除いて)

苗の生産方法には実生苗、挿し苗、接ぎ木がありその中の実生苗と挿し苗の2種類について説明します。

実生苗(みしょうなえ)

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実生苗とは母樹となる樹木(エリートツリーと呼び成長が早い樹)から種子を採取し畑に撒くことで苗を生産する方法です。

実生苗は種から生産するので幼根が伸びて直根になり、側根が形成されるため植物の自然発生の条件と同じため根がしっかり張ります。

しかし、実生苗は親の木と同じ性質を持つとは限りません。

例えば親が持っていた寒さへの耐性がない可能性があります。逆に親の良い面を両方受け継いだ苗木ができる可能性もあります。

良い苗木が生産できる確率がわからないのが実生苗のデメリットです。

挿し苗(さしなえ)

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挿し苗は母樹から(様々な耐性があり成長が早いなどの条件)良いと思う穂先を採取します。

穂先から生産した苗は穂先を採取した母樹と同じ性質を持ちます。

つまり、クローンを作ります。

挿し苗は実生苗のデメリットだった成長が早い苗が出来る確率がわからないという点が解消され安定して良い苗ができるため、林業で使われている多くの苗が挿し苗でした。

挿し苗のデメリットはクローンのため母樹が枯れるような病原菌が蔓延した場合、一斉に枯れてしまう危険性があります。

また、挿し木の苗は主根が細いため台風の時に倒れやすくなってしまうといった問題も有ります。

育成方法

苗の育成方法はポット苗、コンテナ苗、畑の3種類があります。

ポット

ポット苗は容器に培地を入れ種もしくは挿し穂を植え付けて苗を生産する方法で、畑があまりない場所でも生産することが可能です。

根に土が付いたまま植えることができるので毛細根を外気に触れさせることなく植えることができます。

一方で、ポット苗の容器に沿って苗が伸びるため根巻きや底面の小さな開口部から根が出てくるといった問題も起こってしまいます。

底面の開口部から出てくる根は空気切りで防ぎます。

「空気切りって?」と思うと思います。

空気ぎりとはポットを地面から離し吊り下げるか、台に取り付けると、伸びてきた根が空気に触れます。

空気に触れた根は成長が止まるため根切りを行う必要がありません。

「根の成長止まっていいの?」と思う方もいると思います。

安心してください、ちゃんと植林で植えると根の成長が始まりますよ。

ポット苗で大きな問題になっているのは根巻きです。

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根巻きは苗が山に植えられ成長していくと根同士締め付け合い根が伸び悩んだり枯死してしまいます。

その問題を解決したのがコンテナ苗です。

コンテナ

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コンテナ苗とはコンテナ(キャビティ)に培地を入れたところに種もしくは挿し穂を植え付ける根鉢付き苗です。

現在使われているコンテナは『JFA-150、JFA-300』(林野庁開発)や『Mスターコンテナ』(宮崎県林業技術センター開発)等があります。

コンテナには1mmの突起物(リブ)がついているため根が成長し触れるとリブに沿って真っ直ぐ下側に伸びます。

これによってポット苗の問題点だった根巻きが起こりません。

底面の開口部から伸びてきた根はポット苗同様に空気切りで

また育苗期間が半年〜2年ほど短くでき(地方によって異なる)、従来の苗生産より挿し穂の活着率が良いというデータも有ります。北欧では1985年頃から日本では2008年から本格的に生産されています。

一方で、コンテナ内から苗を取り出しにくく、取り出す際に根が傷ついてしまうといった問題も有ります。

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畑に採取した種や挿し穂を植え成長を管理します。

畑で作る苗は自然に一番近い状態のため丈夫でよく張った根ができます。

古くから行われていた苗の生産方法で現在も植林可能な苗まで成長させたり、発芽してある程度成長したらコンテナに移すなど様々な方法で行われています。

一方で出荷するまでに3年ほど時間がかかったり、雑草の駆除などの作業で多くの労働力が必要といったデメリットも有ります。

最後に

いいかがでしたでしょうか?

林業で植林する際に使う苗について書きました。

農林業には「苗代半作」という言葉があるほど苗作りは大事なんです。

日々、成長が早く低コストで大量に安定した供給ができるよう改良が行われています。

私たちアーボプラスは、先人たちが苗木を植え、育ててくれた森林を感謝を持って活用させてもらい、

次世代により良い森林環境を受け継ぐために森林に誠意を持って接することがアーボプラスの使命だと考えています。

の生産過程については別の記事で紹介します。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。