こんにちは、ナカイです。
小学生の頃クヌギにオレンジ色の塊を発見したことがあります。
硬くなっていて初めは何かわかりませんでした。
担任の先生に聞くと「樹液だよ」と教えていただいたのを覚えています。
その時初めて樹液というものを見ました。
よくカブトムシを捕まえたい時は「夜に樹液が出ているところに行けば捕まえられるよ」と聞きます。
樹液は昆虫の餌以外に私たちの生活でも使われています。
今回は日常生活に使われている樹液について紹介します。
樹液とは?
自然環境では昆虫や動物の咬み傷、台風や強風によって木々同士が擦れることによって傷ができます。
樹液とは樹木が傷つけられた際に染み出てくる成分で損傷部分を修復するためと言われています。
樹液は維管束や乳管、樹脂道などの分泌組織から出ており樹種によって樹液に含まれている成分は異なります。
例えばマツやスギの樹木に傷をつけると粘着性の高い液体(樹脂)が出てきます。
僕はスギの種を採取しているときに作業着について洗っても落ちませんでした。
これは樹脂細胞から分泌された成分が排出され揮発性を失ったためで、松やスギでは揮発性がなくなった樹液をヤニと言います。
日常的に使われている樹液
メープルシロップ
皆さんが一番イメージが湧きやすいのがメープルシロップだと思います。
パンケーキにかけて食べると甘さが口の中に広がりますよね。
メープルシロップはサトウカエデなどカエデの樹液を煮詰めることで濃縮した甘味料です。
世界に流通しているメープルシロップの8割はカナダで生産されており日本では埼玉県や北海道の1部で生産されています。
主にサトウカエデから採取された樹液を原料として使い、立木に30cmほどの穴を開けることで維管束内の篩部(しぶ)からショ糖を2〜5%ほど含んだ樹液を採取しています。
採取した樹液を煮詰めることで濃縮されメープルシロップになり、1リットルのメープルシロップを作るのに40リットル以上の樹液が必要とされています。
日本で作られているメープルシロップはイタヤカエデやウリハダカエデを原料としておりサトウカエデに比べ樹液に含まれているショ糖の成分が半分ほどしかないためあっさりとした味わいの製品になります。
漆
日本の伝統工芸の一つでもある漆器は漆の木から採取した樹液を木工品に塗ることで生産されます。
そのため植林して3~6年経った直径20センチの漆の木の樹皮に傷をつけ樹液を採取します。
この樹液をヘラで一つずつ集めていくため少量しか採取することが出来ず貴重なものとなっています。
樹皮を傷つける際、深く傷つけすぎると木の状態が早く悪くなりその後の採取にも影響が出ます。
また樹皮に傷をつける行いは樹木を弱らせてしま雨ため、採取可能なのは数年で採取できなくなると伐採、萌芽更新を行い樹液が取れるまで育てます。
漆の樹液にはウルシオールと言う成分が含まれており肌につくとアレルギー反応が出てかぶれてしまう人もいます。
琥珀
琥珀は樹液(天然樹脂)が化石化したもので、樹木由来の宝石は琥珀のみだと言われています。
琥珀は地上に分布していた樹木が土砂に埋もれ樹木内の樹液が長い年月をかけて結晶化していきます。
そのため琥珀の中には昆虫などが入り込んだ宝石もあり地域や時代、樹種によって色が異なり約200種類以上あるそうです。
ゴム
田舎ではなくてはならない車のタイヤチューブは樹液で作られたゴムを利用しています。
ゴムの原料となる樹液はラテックスと呼ばれゴム質を含み、弾性ゴムやゴムバンドホース、各種タイヤなど幅広く使われています。
ラテックスはパラゴムノキやアラビアゴムノキから採取されます。
樹皮が傷つくと乳管細胞から分泌された乳液が溢れ出し植樹してから5〜6年ほど経つと樹液が出始め1本で25〜30年ほど採取が可能です。
香水
樹脂を使ったお香は古代エジプトやキリスト生誕時に献上、医薬品として使われていたなどの記述があり、ムクロジ目カンラン科ボスウェリア属の樹木から採取される樹脂(樹液から揮発性物質がなくなり固まった物)は乳香と呼ばれ利用されてきました。
現代では様々な香水の原料として使われています。
また、樹脂を燃やした香りにはリラクゼーション効果もあると言われています。
採取方法は漆やゴム同様、樹皮に傷をつけ出てきた樹液をかき集めていきます。
最後に
今回は樹液について書きました。
昆虫の餌やメープルシロップ以外にも様々な商品で樹液は使われています。
樹液一つでも多くの製品に使われているということは私たちの生活には林産物を利用した製品がたくさんあります。
森林の多面的機能の1つである物質生産性は漆や木工品など様々な形で関わっています。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。