木材の乾燥方法のメリット・デメリットを紹介。先人が行っていた乾燥方法の方が優れている⁉︎

 

 

こんにちは、ナカイです。

普段皆さんが使っている木材は乾燥してますよね。

例えば机は乾燥した木材の表面にサンダーや鉋(かんな)をかけて肌触りを良くします。

しかし木材は最初から乾燥しているわけではありません。

アーボプラスが伐採を行う立木は含水率(がんすいりつ=木材に含まれている水分量)が高くそのままでは使えません。

現場に造材した原木を1日置いたら切り口から水が滴っているほどでした。

今回は山で伐採された木が皆さんのところに着くまでにどのように乾燥されるのか理由・方法について紹介します。

何故木材は乾燥させるの?

樹木は立木の場合、含水率が100%を超えます。

そのため伐採直後の原木は見た目以上に重いです。

木材は乾燥すると水分が蒸発して収縮・割れ・反ってしまいます。

乾燥していない木材をそのまま使ってしまうと後々収縮したり反ってしまい使えなくなってしまいます。

そのため木材を使用するときは乾燥した状態で寸法が狂わないようにします。

実際に乾燥材として市場に出回る木材やホームセンターに売っている木材は含水率20%とされています。

また、木材は乾燥することで硬くなり折れや曲がりに強くなり、カビや腐朽菌の発生を抑えることもできます。

木材の乾燥方法は人工乾燥と天然乾燥の2種類があります。

天然乾燥

天然乾燥は古くから行われている方法で製材した木材を風通しの良い場所置き半年〜1年以上かけて乾燥させます。

天然乾燥は木材を置いておく敷地が必要ですが乾燥自体にはコストがかかりません。

また、木材の色や艶を保持したまま乾燥することができます。

天然乾燥には製材を行う前に乾燥させる葉がらし乾燥・水中乾燥といった乾燥方法もあります。

葉がらし乾燥

葉枯らし乾燥は昭和20年代まで日本各地で行われていた乾燥方法で、山側に伐倒し枝葉が黄変(黄色に変化する)もしくは枯れるまで林内においておきます。夏場で3〜5ヶ月、冬場で2〜3ヶ月ほど放置します。

通常は伐採したら造材の際に枝払いを行います。

しかし葉がらし乾燥は伐採してすぐには枝払いを行いません。

枝払いを行わない理由は、幹についている枝葉には蒸散作用があり伐採された樹木の水分を失わせていくからです。

水分を失った原木は伐採時よりも軽くなり搬出コストが減少します。

葉がらし乾燥は渋だしアク抜きとも言われ樹木の色や艶が綺麗になり保持されます。

「森林内に放置しておいていいの?シロアリとか木材を枯らしたり穴開けられないの?」と思うかもしれませんが、葉枯らし乾燥すると樹木の辺材部の澱粉(デンプン)含有量が減少します。

科学的に澱粉含有量の多い樹木は菌やキクイムシの被害を受けやすいというデータがあり、葉がらし乾燥を行うと木が生きようと澱粉を消費しフェノール(害虫発生防止物質)という成分を発生します。

このフェノールには木の色や香りにも繋がる成分で葉がらし乾燥によってフェノールが増加し木材の色味が増します。

水中乾燥

水中乾燥とは伐採した木材を1年以上水中につけてから天然乾燥をする乾燥方法で古くは水中乾燥が広く行われ全国の至る所に貯木場がありました。(伐採した木の搬出路の1つが川だったため)

原木を水に漬けることで木からアクや樹液が出るため乾燥させるときに通常の天然乾燥より早く乾燥し、割れも少なくなるからです。

また、色艶が良くなり香りも違うそうで先人はこのことに気づいていました。

現在はコストや時間の問題、綺麗な水で貯木するスペースも無いためほとんど行われておらず1部の神宮では式典に使う木材を水中乾燥させているそうです。

人工乾燥

(林野庁 木材加工流通体制等の整備 https://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/saisei/pdf/kokusan_sankou3-5.pdfから引用)

人工乾燥とは現代で行われている一般的な木材乾燥方法で、乾燥機械に入れ内部の湿度や温度をコントロールすることで木材を乾燥させる方法です。

人工乾燥は天然乾燥方法に比べコントロールしやすく乾燥が完了する日数も読みやすい一方で、木材の良さ(色や艶など)が抜けてしまったり、初期投資や燃料代などの費用がかかります。

人工乾燥には低温除湿乾燥、高温乾燥、高周波乾燥の3種類あります。

低温除湿乾燥

低温除湿乾燥とは乾燥機内を45℃程に上げ風を循環させます。

循環した熱によって木材から水分が蒸発します。

蒸発した水分を除湿器で除くことで効率的に木材を乾燥させることができます。

大体15日〜1ヶ月程で乾燥が完了します。

低温除湿乾燥のメリットは高温乾燥や高周波乾燥に比べ木材の色味や艶を保持することができます。

高温乾燥

高温乾燥とは100℃を超える温度で木材を乾燥する方法で割れや反りが少ないことからよく使われています。

乾燥は2〜3日程度と短い日数で行えますが喜雨劇に乾燥を行うため木材内部に割れが入ったり木材が変色しやすいといった欠点もあります。

僕が研修に行った製材所では製材時に出た端材をボイラーで燃料にして乾燥させたりしていました。

高周波減圧乾燥

専用の機械に木材を入れ減圧することで木材の表面と内部で水蒸気圧の差を作ることで内部の水分が表面に移動するため乾燥時間が短くなり水の沸点も下がります。

また、高周波を当てることで木材内部にある水分が互いに衝突したり摩擦し合い発熱します。

この2つの作用を合わせることで木材の乾燥を早め、1日で乾燥することができます。

最後に

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いかがでしたでしょうか?

木材の乾燥方法について書きました。

古くから行われていた乾燥方法は時間がかかみりますがコストは少なく、木材の良さを残したまま乾燥します。

現代のように技術が発達していない時代は木材1本1本伐採や搬出、加工に時間がかかるため価値が高く、だからこそ木造建築物は釘などを使わず解体が可能にしてできる限り長く使えるようにしていたのだなと思いました。

気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメントしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。