こんにちは
新人木こりのナカイです
林業と言われると多くの方が伐採を思い浮かべます。
僕自信も高校を卒業して林業大学校に入学するまはでそんなイメージを持っていました。
林業は伐採以外にも様々な仕事があります。
今回は林業という職業の仕事の全体の流れについて説明していきます。
林業という仕事
林業の仕事の流れは大きく分けて植林、育林、伐採の3つです
古くから日本の林業はこのサイクルで林業を行なっており、現在の林業のやり方は先代の林業者たちが試行錯誤した結果です。
林業は樹木を育て、立木を搬出するまで1つ1つの工程を長い時間をかけて行います。
ここからは1つずつ細かく説明していきます。
現在行っている伐採は先人達が施業を行って来たため材が搬出できています。
この記事では林業の始まりを植林として説明します。
植林
植林までの流れ
植林の流れは地拵え→防鹿柵→植林の順です。
まず伐採後、次の山をどのように仕立てるか、どのような原木を生産するかを決定します。
山の日照や土壌環境、水分条件、苗の種類や品種、植栽密度、植林する樹種、施業方法など
たくさんの条件を加味して検討します。
木材生産を考えた場合、針葉樹(スギかヒノキのどちらか)を植林していくことが多いです。
地拵え
植林を行う場所の多くは主伐施業の跡地のため、伐採、造材時の枝葉や伐倒木が残っています。
これを整理し植林を行いやすくする作業です。
地拵えを行うことで苗の間隔が分かりやすく植林の効率、作業スピードは上がり日当たりも良くなるため苗の成長スピードも上がります。
地拵えにも種類があります。全刈り、筋刈り、坪刈り、棚積み地拵えなどがあり、全刈り、棚積み地拵えがよく行われています。
全刈り地拵えは枝葉などを植林予定地から外れた場所に集積を行う方法で最も他樹種が生えてくる可能性が低いです。
作業はシンプルですが作業量が多くかなりの労力を使います。また、地表面が露出しやすいため土砂災害など起きる可能性があります。
棚積み作業は伐採後の切り株や低木を杭として扱い4〜8メートル間隔で集積を行います。
切り株や低木を用いることで土砂災害を防止することができ、作業量も全刈り地拵えに比べ少ないです。
防鹿柵
地拵えの作業が完了すると防鹿柵を張っていきます。
防鹿柵を設置しないと植樹した苗木を鹿が食べてしまいます。
近代の林業では、鹿の被害が甚大なので防鹿柵の設置は必須です。
これには猟師(銃免許を持っている)やドングリといった食料の減少が原因と考えられています。
鹿被害は林業界では深刻で樹木が大きくなってからも立木の皮をめくり中の柔らかい皮を食べます。
皮が捲られるとそこから菌や虫が入ったり腐ってしまい木材の価格を下げてしまいます。
鹿の被害は木材生産に無視出来ない障害となっています。
地拵え、防鹿柵の作業が終わると植林を行います。
植林作業

植林作業は事前に決めておいた密度になるよう苗を用意します。
1へクタールに1000〜10000本植えていきます(植える本数は地域や山の仕立てによって差があります)
等間隔になるように1本1本手作業で行います。
密度を高くすることで苗木同士を競走させて伸長成長を促したり、
密度を低くして幹を太らせたり、樹木の成長をコントロールします。
植林作業が終了すると次は下刈りを行います。
育林
植林作業を終えると育林が始まります。
育林作業は下刈り、除伐、枝打ち、間伐作業を長い時間をかけて行います。
下刈り


下刈りをするのは、植樹した苗が成長しやすいよう周りの雑草を刈り払い機で処理していきます。
雑草を処理する際、誤って植林した苗を伐らないよう注意が必要です。
下刈り作業は年に1〜2度夏場に行いますが、日光を遮るものが何もないため、林業の作業の中でトップクラスに大変な作業です。
この作業を苗木が1メートル半くらいになるまでの7年間、毎年行います。
除伐

除伐は下刈りを終えたらから数年間程行います。
除伐作業は、樹木が幼齢木(林齢が若く、径が細い)時に、他に比べ成長が遅かったり、曲がっている木や植樹した樹種以外の雑木を鋸や鎌を使って除去します。
積雪地域では雪起こしという作業があります。
雪で倒れた幼齢木を雪解け時に起こして、縄で垂直に伸びるよう固定します。
この作業をしないと将来大きくなった材は根曲を起こして材価が下がってしまいます。
また、除伐作業と同時期に枝打ちも開始します。
枝打ち

枝打ち作業は樹木の枝を幹に沿って伐ります。何年かに分けて数回行い20年生の時点で枝打ち高が樹高の半分3〜5メートルくらいまでが目安です。
最後の方になると1本梯子や樹木にステップをつけて上部の枝を落とします。
枝打ちの時期は秋から新芽が出る春前までに行います。
この時期は樹木が水分吸収量を抑えるため皮が大きく捲れるリスクが少なく行えるからです。
枝打ち作業を行うことで製材したときに節のない綺麗な材を取ることができます。
地域によっては枝打ちを行わない所や3分の2まで行うところなど様々です。
除伐が大体終わると間伐を行います。
間伐

樹木が成長し林内が密になってくると林内に光が当たらなくなり細長い木になってしまいます。
細い木のときに台風や大量の雪が降ると木々同士が擦れたり折れたりしてしまいます。
そうなる前に間伐を行います。
枯れたり曲がっている立木を伐採することで林内に光が指し周りの木が成長し下層植生が生えるようになります。
間伐作業には切り捨て間伐と搬出間伐の2種類があり、切り捨て間伐は間伐始めに行います。始めの原木は細く搬出してもお金になりません。林齢が上るにつれて間伐を行う期間はは伸びていきます。
搬出間伐は、間伐する立木の径が一定の太さを超えると車両系や架線システムを用いて集積、搬出します。
間伐材も搬出することで材を極力無駄にしないようにします。
伐採

間伐が終わり伐採適齢期(50〜)になると主伐が行われます。
主伐作業は今まで育てた木を収穫する作業です。
主伐には一定区間の立木を全て伐採する皆伐と、用途に合わせて選択肢し伐採していく択伐の方法があります。
皆伐は搬出がしやすいというメリットから一斉造林を行っている地域はこの施業方法を行っています。
一方で搬出には皆伐より手間がかかりますが用途によって樹木を選ぶ択伐は無駄が少なく原木を高値で搬出することができます。
最後に
いかがだったでしょうか?
林業の仕事の流れを大まかに説明していきました。
伐採以外にも様々な仕事をやっています。林業従事者は季節によって色々な場所で植林や間伐など作業しています。
林業は自分が植林した木を伐ることができないなんて当たり前です。
時代(技術革新)とともに少しずつ進歩している林業ですが、自分が行った施業が正しかったのかは分かりません。
今自分たちが考えられるベストを行いますが、その結果を見ることができるのは後世の人達だからです。
林業は過去の人に感謝して伐採を行い、後世の人たちのために植林、育林を行い託します。
山ほどある職業の中でこれほど長い年月、世代を超える職業は中々ありません。
この記事を読んで林業に興味が湧いた方は是非Facebook株式会社アーボプラスにコメントください。
他にも様々な内容について記事を書いてますのでよろしければ読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。