新人木こりのナカイです
林業の仕事の一つに伐採作業があります。
伐採作業とは立木を伐倒し原木を生産する作業です。
立木を伐倒すると簡単に書きましたがどのように倒すかご存知ですか?
林業関係者にとっては「こいつ、喧嘩売ってる?」、「新人が何を偉そうに」と思われかねない質問ですが
実際、僕は専門学校に入るまで知りませんでした。
今回は、立木をどのように伐採するかについてお話ししていきます。
伐採に必要な道具
立木を倒すのに必要な道具はいくつかあります(林業従事者が普段使っている最低限必要な道具です)。
ヘルメット(イヤーマフが付いた物)、チェンソー、防護ズボン、ハンマー、クサビの5つです。上半身に着るアンダーや作業着は別とします。





全部装着するとこんな感じです。

もし伐採を行うなら上記の道具は絶対に必要です(危険があるので自分でできるとは思わずプロに任せるのが一番いいです)
伐採方法
ここから伐採の種類と流れについて説明していきますが、専門用語が入ってくるので先に何個か紹介します。
受け口→木が倒れる側に直角二等辺三角形を作ります。
追い口→受け口の反対側から水平に受け口に向かって切ります。追い口は受け口の高さ2/3の位置に作ります。
ツル→伐採対象木の直径1/10の幅にします。ツルを支点に立木が倒れます。
基本的伐倒方法は3つあります
1つ目は追い口切りです

この伐倒方法は日本で一番使われている方法で基本の切り方です。
受け口を作り伐倒方向に向かって追い口を入れて倒していきます。
このときツルを残す幅を大きく残すと伐採時の抵抗が強くクサビを深く入れなければなりません。
逆にツルが薄すぎると抑えが効かなくなりどこに倒れるかわかりません
クサビを深く打ち込む作業はかなり大変で、状況によってはクサビに木の全重量が乗っていると言っても過言ではありません。
2つ目はオープンフェイスカットです


このカット方法は特殊伐採でもよく用いられます
アーボプラスの現場でもよく使われているカット方法で受け口が90度なのが特徴です。
追い口の高さを受け口の頂点と同様の高さに入れます。
オープンフェスカットは受け口が大きいため倒れるまでツルを効かせることができます。
そのため、伐倒方向の制御ができツルが跳ね上がるのを防げます。
一方で伐倒後にツルを伐る必要があります。
3つ目はフンボルトカットです

フンボルトカットは日本ではあまり使われていないカット方法です。
フンボルトカットは斜面時の伐倒に適しています。また、材を無駄に伐らないので原木、特に一番玉の価値を落とさずに済みます。
日本の森林は急斜面が多く谷側と山側ではで地面から出ている木の高さが異なるのでフンボルトカットは適しています。
また、日本で使われている追いツル伐り、フンボルトカットの2つの伐り方は伐倒時途中で受け口が閉じてしまい跳ね上がるリスクがあります。
伐採作業の流れ
倒したい方向を決めます。
伐倒方向を決めるときに確認することがあります。
それは伐採する立木の重心です。樹冠(枝葉)が均等かどうか、蔦が絡まっていないか、幹の曲がりは無いか、曲がっていたらどっちに曲がっているのかを調べます。
木の重心を見極めることで伐倒時にどの程度ズレるかを含めて倒す方向を決めます。
他にも搬出経路や造材しやすい方向も考えます。
伐倒方向が決まると伐倒作業のため立木の周りを整理、確認します。
確認するのは頭上、退避経路、周囲です。
頭上は枯れ枝が落ちて来ないか、退避場所は伐倒方向の180度後方の立木の裏が理想的です。退避場所までの経路はできる限り障害物がないようにします。
退避時に障害物を踏んで転倒し伐倒木に巻き込まれないようにするためです。
立木の周囲確認をするのは作業がしやすく、チェンソー運転時に意図しないキックバックを防止するためです。
周囲の状況確認が終わると伐倒作業に移ります。
受け口の水平方向を入れる位置は地面に近いとこで、チェンソーが地面に当たらない位置(大体15センチ上)に直径の1/4の長さまで入れます。
低い位置に受け口を入れる事でより太い原木を市場に持って行き高値で買い取ってもらうためです。
水平方向にチェンソーを入れたら途中でチェーンブレーキをかけるか、
エンジンを止めてチェンソーについている印を見て伐採方向を確認します。
水平方向へ入れ終わると斜めにチェンソーを入れます


受け口の角度は30〜45度になるようにします。
受け口ができ、周囲の安全確認と準備が整うと追い口を入れます。
追い口を入れる高さは受け口の2/3にの位置入れます。
追い口をある程度入れたらクサビを入れ、木が退避方向に傾くのを防ぎます。
クサビを打ち込みながらチェンソーを入れていきます。
ツルは直径の1/10の幅で追い口と受け口は平行にします。
木に曲がりがある場合ツルの幅を左右で変えます。
立木はツルの幅が厚い方に傾くからです。
木が傾き始めたらすぐに退避し、安全な場所で伐倒の完了を確認します。
立木を伐倒したら、チェンソーもしくはプロセッサやハーベスタで造材します。
最後に
伐倒作業は労働安全衛生法で危険有害業務に指定される大変危険な作業です。
いかなる場合でも同じ条件の立木は存在せず伐採を行う木の状態は1本1本異るからです。
そのため安全を確認し1つ1つ作業を行います。
私たちアーボプラスはどんな条件の樹木でも安全に伐倒する高い技術を持っていますが、
それでも伐倒は緊張するものです。
ですので、樹木の伐倒は我々プロにお任せください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。