こんにちは
新人木こりのナカイです。
実は架線系システムって高性能林業機械より早く導入されたってご存じですか?
「いきなりなんだよ」と思いますよね
突然すみません。
「いやそもそも架線系システムって何?」と思う方多いと思います。
林業を知らない方にとっては「は?」となるのも当然です。
もしかしたらドライブ中に、山と山の間を架線が張ってあるのを見たことがある方もいるかもしれません。
最近の林業は機械化が進み大型機械が山の中で作業しているのが当たり前になってきました。
機械化によって林業の作業システムは大きく分けて車両系システムと架線系システムの2つになります。
今回は2つのうち架線系システムについてお話ししていきます。
架線系システムとは?
架線系システムは材を搬出するシステムの1つです。
日本の山の多くは急斜面が多く、道をつけないと機械が入れない場合が多いです。
しかし大型機械はコストも時間もかかってしまいます。
めっちゃ急斜面、林床を荒らしたくない、このような場合に架線系システムの方が効率が良かったりします。
架線系システムには架線集材と簡易型架線集材の2種類あります。
今回は架線集材についてお話ししていきます。
架線集材は架線集材機という専用の機械を用いて集材します。(以降集材機で説明)
「林業機械って全部専用じゃん」と思われるかもしれませんが、高性能林業機械と言われている機械の多くはバックホー(ショベルカー)のアタッチメント変えて作業しています。
集材機は大型トラックのエンジンでドラムが回りワイヤーを動かして材を搬出する機械で
材の重さや搬出スピードをミッション操作で行います。
少し前まで生産中止になっていた為、昭和に製造された集材機が現役で動いています。
近年、新たに生産され(特注ですが)より効率よく使いやすくなりました。
新しい集材機はコントローラで無線遠隔操作が可能で、操縦席から離れて操作ができるため視線の確保が容易になり、今まで習得に時間がかかっていた細かい調整を誰でも行えるようになりました。
架線集材の流れ
ここからは搬出までの流れ(エンドレスタイラー方式)を説明していきます。
施業範囲が決まり架線集材で搬出を行う場合、施業範囲の立木をほとんど伐採します(搬出可能範囲を)。
伐倒がある程度終わると、材をもっとも効率よく搬出するラインを決めます。
ラインが決まると搬出範囲の頂上付近にある太くて大きな立木を本柱とします。
対の山で同じ高さに柱となる木を定め(これを向い柱と言います)、それぞれの柱に滑車を設置します。
滑車は1個数キロもあるものを持って斜面を上り、梯子を使ってできる限り柱の上部に取り付けます。
滑車付近でワイヤーが地面と擦れたり、障害物に接触するリスクを減らす為です。
滑車の設置が完了するとロープを本柱の滑車に通し向い柱まで直線的に進みます。
「何でロープなの?」と思う方もいるかもしれません。
架線集材で用いるワイヤーは直径12ミリのため大変重く人が担いで山を上がるのは不可能です。
なので、始めに軽いロープを貨車に通して最終的にワイヤーと入れ替えます。
ワイヤーを向い柱持って行く時は材の上を通るのがミソです。
材の下を通してしまうとワイヤーを張り上げた際に材が跳ね上がり大変危険です。
細心の注意を払って作業することで安全に機械も破損せず施業を行えます。
滑車を取り付け集材機からワイヤーを伸ばし大きな輪ができるようにしたら、
ワイヤーに搬機を繋げ張り上げます。
そうすることでロープウェイやスキー場のリフトのようになり材が搬出できます。
架線集材では集材機操縦者と集材滑車に玉掛けを行う人が無線で協力して材を搬出します。
また、架線集材は専用の資格が必要のため、高い技術力があって初めて行えるシステムです。
スナビング方式やタイラー方式、フォーリングブロック方式、H型架線など山の状況や事業体によって使われているシステムは様々です。
いかがだったでしょうか?
普段の生活ではあまり聞かない話だったかもしれません。
このように林業は施業場所の条件によって作業・搬出方法を変えています。
少しでも山主さんに利益が入り再造林していただくことで後世へ材を残していきたいと考えています。
気になる点、質問ございましたら気軽にFacebook株式会社アーボプラスにコメント下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。